フェムトセルを手にした代表取締役社長の山田隆持氏
フェムトセルを手にした代表取締役社長の山田隆持氏
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オートGPSを利用したサービス「オートGPSリマインド」
オートGPSを利用したサービス「オートGPSリマインド」
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 2009年冬~2010年春モデル新製品発表会で,NTTドコモは個人の行動に依拠したサービスを2種類発表した(2009年冬~2010年春モデルの第1報)。一つは,自宅に設置した小型の基地局(フェムトセル)を利用する「マイエリア」。もう一つは,位置情報を自動収集することで個人の行動に合わせた情報提供を可能にする「オートGPS」である。

 マイエリアは,フェムトセルをインターネットに接続した光回線と接続することにより,その家庭専用の基地局として利用できるようにするもの。10台までの携帯電話機を登録できる。回線の利用者が限定できるので高速性を担保しやすい。さらに登録した携帯電話機がエリア内に存在しているかどうかを検知する機能を利用して,「イマスカ機能」を提供する。具体的には,家族の帰宅を外出中にメールで自動的に知らせる機能や,帰宅した家族にあらかじめ設定しておいたメールを自動的に送る機能などを提供する。フェムトセルには,携帯電話網の負荷分散の意味合いもあるため,海外では割り引きを適用するケースもあるが,「高速性やイマスカ機能などの付加価値があるため,現在は割り引くことは考えていない」(代表取締役社長の山田隆持氏)。

 マイエリアに対応した機種は今回の新機種中13機種が推奨機種となっている。推奨機種の場合,自動的に自宅のエリア内に切り替わる。手動で切り替える機種は,既存機種を含め179機種がマイエリアに対応しているという。マイエリアの初期費用は2100円。月額使用料は980円。ただし2010年5月31日までは,初期費用無料,月額使用料490円のキャンペーンを実施する。なお,フェムトセルを設置可能な光回線はマルチセッションに対応している必要があるため,現状ではNTT東西が提供している「フレッツ光」のみである。「他社のサービスがマルチセッションに対応してくれれば,フェムトセルを設置することはやぶさかではない」(山田氏)。

 もう一つのオートGPSは,個々の携帯電話機の位置情報をバックグラウンドで測位して,自動的にNTTドコモやコンテンツ・プロバイダに提供し続ける機能である。これを利用して,NTTドコモでは「iコンシェル」を通じて行動支援型のサービスをいくつか提供する。例えば位置に基づいて交通情報や周辺のレストラン情報の提供,スーパーマーケットの特売情報の配信などが可能になるという。具体的には全日本空輸と日本航空が,空港に近づくと自動的に搭乗ゲートや便名,座席番号などを配信するサービスを提供するという。また,あらかじめ登録しておいたレストランなどの近くに行ったときに,ユーザーに通知する「オートGPSリマインド」,最寄り駅の終電情報を配信する「終電アラーム」などを提供する。オートGPSには今回の新機種中,10機種が対応している。

 このほか,「ケータイデータお預かりサービス」の機能を拡張し,NTTドコモのサーバーで管理する情報を増やした。これまでは電話帳機能が中心だったが,動画やWebブラウザーのブックマーク,設定情報なども対象とした。これに伴い,複数ユーザーで画像やスケジュールを共有するサービスなども提供するという。