NECビッグローブが開園するレンタル農園(埼玉県久喜市)
NECビッグローブが開園するレンタル農園(埼玉県久喜市)
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Webカメラで野菜の生育状況を確認できる
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実際の農園と連動した仮想農園
実際の農園と連動した仮想農園
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 インターネット接続事業大手のNECビッグローブは,農業関連事業に参入する。個人向けのレンタル農園を運営するベンチャー企業,マイファーム(京都市)と組み,個人への農園の貸し出しとWebサービスを組み合わせた新事業を始める。NECビッグローブの飯塚久夫社長は2009年11月6日に開いた発表会見で,「ネットとリアルを融合させたビジネスで,新たな価値を創出する。3年後に農園事業で10億円の売り上げを目指す」と話した。

 レンタル農園サービス「BIGLOBEファーム」の提供を2010年2月に始める。第一弾として,埼玉県久喜市に開園する3000m2の農園の先行予約を開始した。7.5m2単位で300区画の畑を用意する。1区画の月額利用料は3980円(税込み)。今後,農園を全国展開し,3年間で60ヵ所に増やす計画で,延べ3万人の利用を見込む。

 農園では,常駐のインストラクターが種のまき方や苗の植え方といった栽培方法を指導する。小型耕運機や,くわなどの農機具も常備しており,自由に使える。農園の管理人による水やりや雑草処理などの支援を受けることができ,頻繁に農園に足を運べない利用者でも使いやすい環境を整える。

Webカメラやコミュニティー・サイトなどを提供

 農園にはWebカメラを設置。自宅のパソコンや携帯電話機からネット経由で現地の様子を観察できる。Webカメラは角度調整や光学40倍ズームの機能を備えており,自宅から遠隔操作が可能。野菜の育成状況を見ながら害虫対策などを管理人に依頼したり,写真を撮影したりできるようにする。

 農園利用者間の交流を促すコミュニティ・サイト「iplant」の提供も始める。Webサイト上で他の利用者に自分の畑の様子を見せたり,栽培ノウハウを共有したりできるほか,インストラクターに栽培方法などを相談する仕組みも提供する。

 同サイトでは,ゲーム感覚で楽しめる仮想農園を導入する。実際の育成状況と同期した形で野菜のイラストが成長する様子を,Webブラウザー上で閲覧できる。NECビッグローブが販売する種のパッケージに付与したIDを使う。種を実際の農園にまいた後に,Webサイトで種のIDを入力。実際の農園での水やりなどを日記として投稿すると,それに連動して仮想農園の野菜が成長する仕組みだ。

 NECビッグローブによれば,国内で約37万haの農地が耕作放棄地になっている。食の安全意識の高まりなどでレンタル農園は急拡大しており,現在国内で200万人が利用し,市場規模は220億円に達している。潜在需要は820万人,900億円規模という。耕作放棄地を活用し,関西を中心に30カ所のレンタル農園を運営するマイファームと組むことで,NECビッグローブの強みであるネット関連技術を生かした農園運営ビジネスを実現できると判断した。

 企業の福利厚生や学校の教材用途などの法人向け農園事業や,既存のレンタル農園へのネット関連技術の提供サービスも展開する。農場運営で蓄積するノウハウを,IPv6を活用した気象・土壌情報などのセンシング・サービスや,農家と消費者をつなぐプラットホーム・サービスなどにも活用していく計画だ。