欧州連合(EU)はベルギーで現地時間2009年11月5日,電気通信改革のパッケージ案について,欧州議会と閣僚理事会がインターネット接続の遮断を巡る修正条項に合意したことを明らかにした。市民の権利尊重を原則とし,フランスのスリー・ストライク法を否定している。

 フランスでは,違法コンテンツの利用を規制するスリー・ストライク法が可決した。著作権を侵害しているインターネット・ユーザーに対し,1回目は電子メールで,2回目は書面で警告を送り,3回目は裁判所の判断で強制的にインターネット接続を遮断できるというもの。

 今回承認された修正条項では,市民が電気通信ネットワークを通じてサービスおよびアプリケーションを利用するために行うインターネット接続に対する措置は,基本的な人権と自由を尊重すべきとしている。これら権利を制限する手段は,民主的社会に則った場合に認められ,裁判所で審理を行うなど,効果的で公平かつ公正な手順を採らなければならない。一方的に接続を停止するスリー・ストライク法はこれに当たらない。

 同パッケージ案については5月に過半数の賛同を得ていたが,問題の条項のみ議論の対象として残っていた。電気通信規制の改革案は2010年初頭に成立し,5月をめどにEU加盟国の国内法規に組み込まれる見通し。

 米メディア(New York Times)は,同条項について,強力な海賊行為防止策を望む政府と,インターネット接続を確固たる権利として守りたい消費者団体との間の妥協案だと報じている。英国もスリー・ストライク法を検討しており,インターネット利用を監視する体制の構築を考えているという。

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