図1 民主党 参議院議員で外務副大臣の福山哲郎氏
図1 民主党 参議院議員で外務副大臣の福山哲郎氏
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図2 会場の様子
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 民主党 参議院議員で外務副大臣の福山哲郎氏は2009年11月5日,「スマートエネルギー・シンポジウム 2009」(主催は日経BP社)において,鳩山政権の環境政策の方向性を述べた(図1,2)。鳩山政権の掲げるCO2排出量の1990年比25%削減という方針について「厳しい目標」(福山氏,以下の発言はすべて同氏)との認識を示した上で,「できないと言って気候変動問題から目を逸らすのではなく,何が何でも達成するためにライフスタイルを変えるところまで考えねばならない。そのために我々もアイデアを出すし,多くの人からアイデアをもらいたい」と,達成に向けた意気込みを述べた。さらに,米国を中心に盛り上がる次世代電力網「スマートグリッド」に関しても言及し,「日本でも早急に財政支援をしていきたい」と,政府が積極的に関与する考えを示した。

 「25%」という数値目標に対して,産業界から様々な疑問の声がある。特に,鉄鋼産業などのように,構造的に多くのCO2を排出する業界から顕著だ。こうした業界に対して福山氏は「日本政府が配慮しないと言ったことはない」とする。「気候変動問題の現状は,総じて外交問題であり経済問題である。多排出企業の国際競争力を減退させるような政策を取ることはない。むしろ,多排出企業にどのような配慮をするのかが知恵の出しどころ」とした。

 現在,「国内市場にどの程度のインセンティブを与えれば,きちんとした市場ができるのかを考えている」段階にあるという。このため,鳩山政権は気候変動問題を検討するために3チーム発足させたとする。3チームとは,「中期目標の達成を目指すチーム」「鳩山イニシアチブを検討するチーム」「排出量取引制度を検討するチーム」である。今後はチームごとに集中的な議論を重ねていく方針だ。