トヨタ自動車は,2009年度上期(2009年4~9月期)の連結決算を発表した。売上高は8兆3776億円(前年度同期比31.3%減),営業損益は1369億円の損失(前年度同期は5820億円の利益),当期純損益は560億円の損失(同4934億円の利益)で,減収・赤字の決算となった。ただし,直近の四半期では黒字を確保しており,通期業績見通しも上方修正する。

 営業損益は,前年度同期から7189億円の悪化となった。利益の増加要因としては,「原価改善の努力」が2100億円,「固定費の削減」が3900億円で,計6000億円である。減少要因としては,「台数・構成などの影響」が9100億円,「為替変動の影響」が3200億円,「その他」が889億円で,計1兆3189億円。差し引き7189億円のマイナスである。

 「台数・構成などの影響」については,販売の悪化による部分が大きい。2009年度上期の全世界の連結販売台数は313万台で,前年度同期(425万台)から26.4%減少した。地域セグメント別で見ても,全セグメントで販売台数が減少している。具体的には,日本が90万3000台で前年度同期比11.1%減,北米が90万4000台で同33.4%減,欧州が43万5000台で同24.9%減,アジアが42万2000台で同17.3%減,その他が46万6000台で同40.9%減である。

 2009年度上期では赤字決算となったが,直近の四半期である同年度第2四半期(2009年7~9月期)に関しては,営業損益,当期純損益共に黒字である。売上高は4兆5416億円(前年度同期比24.0%減),営業利益は580億円(同65.8%減),当期純利益は218億円(同84.4%減)だった。各国政府主導の市場刺激策により市場全体の需要が持ち直したほか,トヨタ自動車が以前から取り組んでいた緊急収益改善策の効果が少しずつ出始めているという。

 2009年度上期業績の発表に伴い,同社は同年度通期(2009年4月~2010年3月期)の業績見通しを上方修正した。修正後の業績見通しは,売上高が18兆円(2009年5月発表の見通しでは16兆8000億円),営業損益が3500億円の損失(同7500億円の損失),当期純損益が2000億円の損失(同4500億円の損失)である。想定為替レートは,対米ドルが93円,対ユーロが132円である。

 営業損益は4000億円の上方修正だが,内訳は「台数・構成などの影響」が2500億円のプラス,「原価改善の努力」が800億円のプラス,「固定費の削減」が200億円のプラス,「為替変動の影響」が500億円のプラスで,計4000億円のプラスである。

 通期業績の見通しを上方修正したが,それでも下期(2009年10月~2010年3月期)に関しては営業赤字という予測である(単純計算で下期は2131億円の営業損失となる見通し)。その理由としては,主要通貨に対する円高の進行(上期実績は1ドル=96円,1ユーロ=133円だったのに対し,下期見通しは1ドル=90円,1ユーロ=130円),市場刺激策終了後の需要の動向が不透明であること,当初上期に予定していた費用(設備投資,研究開発費など)が下期にずれ込むことなどを挙げる。