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 古河電気工業は,UWB技術を利用した,車載向け障害物検出用レーダーを開発した(発表資料)。準ミリ波帯(26GHz帯)を用いる。UWBのような広帯域信号で課題となる「キャリアリーク」と呼ばれる,搬送波信号がレーダー装置から漏れて外へ放射される現象を抑制した点を特徴とする。

 開発品は,数n(ナノ)秒のパルス信号を送信し,物体からの反射波から物体までの距離や相対速度,角度を検出する。検出距離に応じて,2種類の動作モードを備える。0.1m未満から数m以内の近距離に向けた検出モードと,数十mまでの中距離をカバーする検出モードに切り替えられる。近距離の方が距離検出の精度が高く,その誤差は±7.5cm。レーダー装置の外形寸法は110mm×75mm×25mmである。

 UWBレーダーは,30m以内の距離検出に適するという。ミリ波レーダーなど他方式のレーダーに比べて,距離検出の分解能が高い点を特徴とする。ミリ波レーダーと同様に,相対速度を直接検出し,雨や風,霧などの悪天候の影響を受けにくいという。

 日本では,UWBレーダー向けに26GHz帯はまだ開放されておらず,総務省情報通信審議会で審議中。26GHz帯を制約なしで,24GHz帯を制約付きでそれぞれUWBレーダー用途に開放する検討がなされているという。2010年内にUWBレーダーを利用できるように電波規制が改定される見込みとする。

 そこで,古河電気工業は開発品に対して,総務省からの「無線実験試験局免許」を取得した。これにより,開発品を実際の自動車に搭載し,走行しながらの評価試験が可能になる。開発品は,改定される予定の新規制に適合するという。

■訂正履歴

記事掲載当初,タイトル中の社名を「古川電工」としていましたが,「古河電工」の誤りです。お詫びして訂正します。タイトル は修正済みです。