東芝が録画補償金の徴収をせずに販売しているDVD録画機「RD-G503」
東芝が録画補償金の徴収をせずに販売しているDVD録画機「RD-G503」
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 私的録画補償金協会(SARVH)は2009年10月21日に理事会を開き,著作権法104条の二の規定に基づき,東芝に対し,未払い補償金の納付を求める旨,提訴することを決定した。また,今後同様の事態が生じたときにも訴訟を行うと,同時に決定した。

 この問題は東芝が2009年2月に発売したDVD録画機「RD-G503/E303」について,デジタル放送専用機であることから,録画補償金の対象機器であるかどうかに疑義があると主張し,販売価格に上乗せする形での補償金の徴収を拒否した件に関連する(Tech-On!関連記事1)。

 2009年3月末まで販売されたDVD録画機の補償金納付期限が2009年9月末だったことから,東芝が当該機器の補償金を納付しなかったことが確定していた。SARVHは2009年9月7日に監督官庁である文化庁に照会を行い,翌8日に,RD-G503/E303が補償金の対象機器である旨の回答を受け取ったことから,東芝への提訴を検討していた(Tech-On!関連記事2)。

 東芝広報部はこの件に関して,「当該の機器については,ユーザーからの補償金徴収ができない状況と考えている。従って9月末に納付していないのは事実である。訴訟に関してはまだ提訴された状況ではなく,仮定の質問には回答できない。当社としては,これまで続けてきたSARVHとの話し合いを継続したいと考えている」とコメントした。

 なお,東芝は2009年7月にもアナログ・チューナー非搭載のDVD録画機「RD-E1004K」「RD-E304K」を発売している。また,パナソニックも2009年4月に発売したアナログ・チューナー非搭載のDVD録画機について,東芝と同様の主張をしている。これらの製品に関する補償金の納付期限は2010年3月末に予定されており,その際に今回の東芝と同様の問題が起こる可能性が高い。今回の理事会の二つ目の決定は,これを意識したものと思われる。

 この件に関しては,2009年10月16日に,9月8日にSARVHに対して文化庁が行った回答について,電子情報技術産業協会(JEITA)が撤回を求める見解を公表している。10月7日付で主婦連合会(主婦連合会の声明へのリンク),同月13日付けでインターネットユーザー協会(MIAU)(MIAUの声明へのリンク)が,共に文化庁の9月8日付の回答の撤回を求める声明を発表し,要望書を消費者庁や文化庁などあてに提出している(Tech-On!関連記事3)。