私的録画補償金協会(SARVH)は,著作権法の規定に基づく,録画補償金の徴収協力義務を果たしていないとして,東芝を提訴する方針で検討を進めていることを明らかにした。10月21日に予定される理事会でこの問題について検討し,最終決定を行う。ただし,仮に提訴する方針が決まった場合でもまず,東芝に対して何らかの意思確認を行う予定。東芝の態度に変化が見られない場合は,実際に提訴する形になるという。

 この問題は,東芝が2009年2月に発売したアナログ・チューナー非搭載のDVD録画機について,デジタル放送専用機であることを理由に,補償金の徴収を拒否している問題に関連する(Tech-On!関連記事1)。東芝が当該機種の補償金を支払っていない事実は,2009年9月末に報道などで既に明らかになっている。

 SARVHは今回の検討にあたって,東芝のアナログ・チューナー非搭載DVD録画機が,現行の著作権法や対象機器を定めた著作権施行令に定められた規定で対象機器となるかどうか,「技術の専門家を呼んで改めて確認した」(SARVH)とする。その上で2009年9月7日に,監督官庁である文化庁に対し,当該機器が対象機器であるかどうかを問い合わせ,翌8日に「該当機器であるという回答を得た」(SARVH)という。

 SARVHは最終的な判断はあくまで理事会で決まるとした上で,「我々には,法令に従って補償金を徴収する義務がある。今回,監督官庁から出た判断は絶対で,覆らないと考える。訴訟に打って出るという事態は組織として初めての経験で,必ずしも本意ではないが,業務内容が法令で定められた組織である以上,避けがたい」とコメントした。