ソニーの単眼式3Dカメラ
ソニーの単眼式3Dカメラ
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後方から見た様子
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 ソニーは,CEATEC 2009に,同社が10月1日に発表したばかりの単眼式の業務用3次元(3D)ビデオ・カメラを出展し,同カメラで撮影した3D映像の試写を披露した。同社は,「今回は技術発表だが,今後,映像業界に採用を働きかけていく」としている。

 ソニーはこのカメラを,「マイクロステレオプシス(microstereopsis)」という,数mm幅というわずかな両眼間隔でも十分な立体感,奥行き感を得られるという1995年に発表された概念に基づいて開発した。実際にはソニーは,この概念とは独立に1972年の時点で単眼式3Dカメラを試作済みだったが,当時はフレーム・レートの低さや光学系の単純さから自然な3D映像を得るには至らなかったという。今回,ソニーはフレーム・レートを240フレーム/秒に高め,しかも一つの対物レンズの口径幅を利用して左右の映像を同時に得る光学系を開発した。つまり,左目用と右目用の映像をそれぞれ240フレーム/秒で撮影できる。

 この単眼カメラを利用する最大のメリットは二つ。(1)一般の3D映像の視聴につきまとう,目の焦点と視線の交点のズレ(いわゆる「調節と輻輳の矛盾」)が発生しない,(2)映像の視聴には3Dメガネを利用するものの,例えメガネ無しでも映像が2重に見えない,といった点である。