KDDIやロームなどが,最大1Gビット/秒のデータ伝送速度を実現できる高速赤外線通信「Giga-IR」に関する展示をしている。例えば,KDDIは動作デモを,ロームは薄い送受信モジュールを出展している。
KDDIが披露したのは,Giga-IRを利用してホームサーバで録画したテレビ番組データを携帯電話機へ転送することを想定したもの。2番組,計54Mバイトほどの映像データを,携帯電話機を模した小型機器に転送する。
Giga-IRではデータを送受信する際に,送受信する機器同士を5cm以内に近づける必要があるという。これに対して,現在携帯電話機で利用されている赤外線通信の通信距離は20cmほど。現行仕様と比べて通信距離が短い理由は二つあるという。一つは,受信感度が不足しているため。もう一つは,20cmも離してデータ通信を行うユーザーが実際には少ないためだ。要望があれば,5cm以上の通信距離を確保する考えもあるという。
Giga-IRが携帯電話機などに搭載される時期に関しては,「未定」(KDDIの説明員)。だが,「個人的には対応する送受信チップの製品化は早くても今から1年から1年半ほどと考えている。その後,携帯機器に搭載されるので,実用化されるのは現在から1年半から2年後ではないか」(同説明員)とみる。
送受信モジュールを2mmに薄型化
Giga-IR対応の薄い送受信モジュールを展示したのはロームである。モジュールの厚さは約2mmと,同社従来品の約3mmに比べて1mmほど薄くした。光学設計の改善などにより実現したとする。現行の赤外線通信用モジュールの厚さはさらに薄い「1.5mm」(ロームの説明員)。しかし,今回モジュールの厚さを2mmへと薄くしたことにより,「携帯電話機への搭載がグッと近づいた」(同説明員)という。
Giga-IRでは,光源にレーザ,LED,どちらも利用可能である。レーザの方が高速変調をしやすく,データ伝送速度を高めやすい。ただし,アイセーフティーの問題などから出力を高めにくく,伝送距離をのばしにくい。一方,LEDは光出力を高めて伝送距離を長くしやすいものの,高速変調が難しい。
ロームが開発したモジュールの光源には,発振波長850nmのVCSELを利用している。VCSELから受光素子まで,モジュールの部材はすべてロームが開発したという。
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