新しい音楽体験を提供するヤマハのブースには多くの来場者が集まっていた
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ピアノ演奏と動画再生を同期させる技術の説明
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iPhoneアプリケーション「FingerPiano Share」を使って,無線通信でピアノ連弾をしている様子
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「セカイカメラ」のAR空間に個人の演奏情報のタグが浮かび上がる
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VOCALOIDを組み込んだ産総研の女性型ロボットが,ピアノ演奏に合わせて歌を歌う
VOCALOIDを組み込んだ産総研の女性型ロボットが,ピアノ演奏に合わせて歌を歌う
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 「YouTubeにアップされたミュージシャンの演奏ビデオを再生すると,映像と同期して目の前のピアノがその演奏を再生する」「子供の頃からのピアノ演奏をすべてクラウドに保存して,いつでもその演奏を呼び出して再現する」──2009年10月6日に開催された「CEATEC JAPAN 2009」のヤマハのブースでは,こうした時や空間を超える近未来の音楽体験「PLAY iT」を体験できる。

 ヤマハが披露しているのは,「時を超える」「空間を超える」「演奏の枠を超える」「リアリティを超える」「ソウゾウを超える」の五つのデモンストレーション。例えば,「時を超える」では,同社の自動演奏ピアノ「ディスクラビア」で演奏した際の情報(MIDIと絶対時刻)をクラウド・サーバーに保存し,オンデマンドに呼び出して再生できる「Piano Lifelog」と呼ぶ技術を使う。これによって子供の頃からの演奏記録をすべて保存しておき,懐かしい写真や動画を見るときに,当時の演奏ぶりをディスクラビアで再現するといったことが可能になる。

 「空間を超える」で使われているのは,ディスクラビアが持つ動画と自動演奏の同期技術である。ある動画をiPhoneで再生すると,動画に埋め込まれている同期情報を「AirWired」という無線通信技術によってディスクラビアに転送する。ディスクラビアは受信した情報から該当する演奏データをPiano Lifelogサーバーから呼び出して自動演奏するといった流れになる。これによって,YouTubeなどの動画サイトにアップされたプロの音楽家の演奏を自宅のピアノで再現するといった楽しみ方を提供できるとする。

 「演奏の枠を超える」では,電算システムが開発したiPhone/iPod Touch向けのアプリケーション「FingerPiano Share」で鍵盤をタッチすると,目の前のピアノが鳴るというデモ。FingerPiano Shareで弾いた演奏を無線LAN経由で送信し,ピアノで受信している。複数のiPhoneを使えば連弾も可能だ。ピアノが弾けない人でもセッションを楽しめる。

 「リアリティを超える」では,AR(拡張現実)技術を使った頓智・(とんちどっと)の「セカイカメラ」との連携を見せた。Piano Lifelogサーバー上の演奏データをセカイカメラのエアタグにすることにより,ピアノにカメラをかざすと自分や他人の演奏情報がタグとなってAR空間に浮かび上がる。

 最後の「ソウゾウを超える」では,産業技術総合研究所の開発した女性型ロボット「HRP-4C」がピアノの音に合わせて歌を歌うというデモを行い,来場者の注目を集めた。これにはヤマハが開発した歌声合成技術「VOCALOID」が使われている。「ソウゾウを超える」には,近未来には人間が創造したロボットとソフトウエアと自動演奏ピアノが,人間の想像を超える演奏をするかもしれないという意味が込められている。

■変更履歴
記事掲載当初,「VOCALOID」について,「クリプトン・フィーチャー・メディアの歌声合成技術」としていましたが,「ヤマハが開発した歌声合成技術」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。