図1 「CELL レグザ(REGZA) 55X1」と東芝 デジタルメディアネットワーク社 社長の大角正明氏
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図2 表示部とチューナー部(CellやHDD内蔵)に分離。外装にはアルマイト処理を施したAlを採用する
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図3 チューナー部の内部。14個のチューナー(左)と「CELLプラットフォーム」(その他の3枚の基板)を搭載する
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図4 CELL レグザの超解像処理
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図5 CELLレグザの液晶パネルの構成。LEDバックライトは自社で開発したという
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図6 スピーカーも新たに開発
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図7 容量が3TバイトのHDDを内蔵。「B-CAS」カードは6枚
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図8 一時保存した映像データや今後の放送予定番組を関連付けて検索できる「ローミングナビ」の画面表示
図8 一時保存した映像データや今後の放送予定番組を関連付けて検索できる「ローミングナビ」の画面表示
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図9 8番組を同時に表示可能
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図10 リモコンにはタッチ・パッドを採用
図10 リモコンにはタッチ・パッドを採用
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 東芝は2009年10月5日,ソニーや米IBM Corp.と共同開発したマイクロプロセサ「Cell Broadband Engine(以下Cell)」を搭載する液晶テレビ「CELL レグザ(REGZA) 55X1」を発表した(ニュース・リリース)。「これまでのテレビ作りへのこだわり,半導体技術やLED技術など,東芝が持っている総合技術力の結晶。“最高のエンタテインメント・マシン”」(東芝 デジタルメディアネットワーク社 社長の大角正明氏)と位置付ける。「高画質・高音質」「録画」「ネットワーク」の三つの機能を強化することで,「テレビの概念を変える」(東芝の大角氏)とした。

 CELL レグザ 55X1は外形寸法が55型で,画素数は1920×1080(フルHD)。搭載するCellは,45nmプロセスで製造されており,プロセサ・コア「SPE(Synergistic Processor Element)」を7個搭載する。2009年12月上旬から販売を開始する。価格はオープンだが,店頭予想価格は100万円前後という。販売目標は月産1000台。

エッジ部や色にも超解像処理を適用

 高画質については,入力信号の解像度を超えた出力映像を作り出す超解像技術とLEDバックライトの部分制御(ローカル・ディミング)の2点について,同社の液晶テレビ「REGZA」に比べて処理機能を強化した。

 超解像技術に関しては,専用LSIではなくCell上でソフトウエア処理される。従来品では入力信号の1フレームから輝度信号を解析し「テクスチャ部」,「エッジ部」,「平坦部」の3種類に分類した上で,テクスチャ部という鳥の羽などの細かい個所のみに「再構成型」と呼ぶ超解像処理を施していた(Tech-On!の関連記事)。今回,「自己合同性型」と呼ぶ超解像処理をエッジ部に施したほか,色信号に対する超解像処理を施すことで,さらなる高画質化を図った。

 エッジ部への超解像処理については,周囲の画素から輝度信号が近似した個所を検出・抽出し,その二つの画素を重ね合わせることで,解像度を復元する。色信号への超解像処理については,地上・BS・110度CSデジタル放送の映像で輝度信号の1/4に圧縮された色信号を,輝度信号の1/2に復元するという。なお,これらの処理は再構成型の超解像処理と同様に,1フレームの画像データに対して施される。

ピーク輝度は1250cd/m2,コントラスト比は500万対1

 CELL レグザに搭載する液晶パネルは,バックライト光源に白色LEDを採用する。白色LEDはパネルの直下に配置する「直下型」を採用する。入力映像に対して白色LEDを512領域(16×32)で制御する。同社の従来品の白色LEDの領域は96(8×12)であり,領域数は5倍以上となった。搭載する白色LEDの個数は「回答できないが,1つの領域に複数の白色LEDを搭載する」(東芝)という。太陽光などを表示する際は,領域内の複数の白色LEDをすべて最大の輝度となるように発光することで,ピーク輝度は1250cd/m2,映像表示時のコントラスト比は500万対1を実現する。なお,白色LEDの部分制御はCellと専用LSIで施される。

 このほか,液晶パネル側で60フレーム/秒である映像のフレーム間に補間画像を1枚挿入させて120Hzで駆動するほか,LEDバックライト光源をオン・オフ制御することで部分的に黒画面を挿入し映像の残像感を低減する「Wスキャン倍速」機能を搭載する。この際のLEDバックライトの分割領域は16である。

 音質については,ウーハーとツィーターをAl製のエンクロージャー(筐体)で外装した「CELLレグザ」専用スピーカーを搭載する。スピーカー・メーカーであるフォスター電機と共同で開発した。

搭載HDDは3Tバイト,地デジを8番組同時に録画可能

 録画機能については,CELL レグザは容量が3TバイトのHDDを内蔵する。地上デジタル放送を8番組同時に録画できる「タイムシフトマシン」機能を備えており,それぞれ約26時間分の番組を一時保存できる。リモコン上の“タイムシフトマシン”ボタンを押すと,録画した番組を過去番組表として表示できる。搭載HDDは,2Tバイトがタイムシフトマシン機能用であり,1Tバイトが通常録画用である。これらの機能を実現するため,合計14個のチューナーを搭載する。内訳は,タイムシフトマシン用として地上デジタル放送用チューナーを8個,通常録画用として地上デジタル放送用チューナーを2個とBS・110度CSデジタル放送用チューナーを2個,視聴専用として地上デジタル放送チューナーとBS・110度CSデジタル放送チューナーを1個,地上アナログ放送チューナーを1個である。

 USB対応のHDDを用いた録画機能にも対応する。接続できるHDD数は最大2台。2TバイトのHDDを同時に2台接続した場合,内蔵HDDと合わせて地上デジタル放送を最大730時間,録画できる。

 録画後の番組検索を容易にするため,ユーザー・インタフェースにも工夫を加えた。一時保存した映像データや今後の放送予定番組を関連付けて検索できる「ローミングナビ」を搭載する。ユーザーが選択した番組のサムネイル映像を画面中央に表示し,タイトルや人物,ジャンル,キーワード別に関連のある番組を環状に表示する。録画した番組を40分割し,サムネイルで一覧表示することもできる。

 このほか,あらかじめ設定した地上デジタル放送を最大8番組,ストレスなく切り換えられる「地デジ高速チャンネル選局」機能を備える。タイムシフトマシン用に搭載する地上デジタル放送用チューナーを用いて,「事前に復号化処理することで実現する」(東芝)という。この機能を応用して,ディスプレイ上に8番組を同時に表示することも可能である。

フルHD対応の「Opera」を搭載

 ネットワーク機能については,フルHDの精細度に対応するブラウザーを搭載する。ノルウェーOpera Software社と共同開発した。米Google Inc.の動画共有サイト「YouTube」の映像コンテンツの表示にも対応する。リモコンにはタッチ・パッドを採用しており,「ノート・パソコンと同様の感覚でインターネット閲覧が可能」(東芝)という。

 このほか,テレビ向けVOD(video on demand)サービスである「アクトビラ ビデオ・フル」や,NTTぷららが提供するIPTVサービスである「ひかりTV」,ヤフーが提供するテレビ向けインターネットサービス「テレビ版Yahoo!JAPAN」に対応する。