日本の公正取引委員会(公取委)は2009年9月30日に,米Qualcomm Inc.が独占禁止法に違反していると判断し,排除措置命令を行った(PDF形式の発表資料および排除措置命令書)。これに対しQualcomm社は,「日本の法律で認められた審判請求権を行使する」などとする声明を発表した(発表資料)。

 公取委は排除措置命令の草案を2009年7月に事前通知していた(『日経エレクトロニクス』2009年8月24日号の記事)。Qualcomm社がCDMA関連の特許ライセンス契約において,国内の携帯電話機や基地局などのメーカーに無償許諾条項と非係争条項を要求していたことが「不公正な取引方法」の「拘束条件付取引」に当たり,独占禁止法に違反していると判断した。

 今回の排除措置命令で公取委はQualcomm社に対し,CDMA関連の特許ライセンス契約における無償許諾条項と非係争条項を破棄すること,第4世代移動体通信システム(4G)の「IMT-Advanced」の知的財産権に関して同様の行為を行わないことなどを要求した。

 Qualcomm社は「契約内容は各社との任意の交渉に基づくものであり,強要していない」などと契約の正当性を主張したが,結果的には排除措置命令に草案からの変更はなかったという。「問題とされている条項は,取引のコストと特許ライセンス料を引き下げることにつながり,『特許の平和』をもたらすものである」と主張する同社は,排除措置命令の妥当性を問う審判を請求すると表明した。さらに,この審判で排除措置命令が確定した場合には上告するとしている。