ダイキン工業は,フッ素系の撥液(はつえき)剤「『オプトエース』HPシリーズ」を開発した。カラーディスプレイ機器のカラーフィルタなど,電子デバイスの製造工程で使うレジスト剤に添加するもの。レジスト剤との親和性が高い分子構造を持つので,レジスト剤本来の性能を損なうことなく,撥液性を付与できるという。2010年1月に本格販売を開始する予定だ。

 同社によると,カラーフィルタの製造プロセスにおいては,従来の方式より作業工数が少なく,コストを半減できるインクジェット方式の採用が始まっているという。一方,カラーフィルタなどの電子デバイスは,数十μmレベルまで微細化が進んでいる。そのため,微細化したカラーフィルタの製造プロセスにインクジェット方式を採用するには,撥液剤入りのレジスト剤を使い,ガラス基板上に事前に精密な配色パターンを形成する必要がある。しかしインクジェット方式には,吹きこぼれや吹きムラが発生しやすいという欠点があった。

 新シリーズを特定のレジスト剤に添加すれば,ガラス基板側に特殊インクを弾く撥液部分と,インクが付着する親液部分を数十μmレベルの正確さで形成できる。これにより,配色パターン通りにカラーフィルタを製造することが可能という。

 同社は,数年前から国内の複数のレジスト剤メーカーにサンプルを提供しており,各社のレジスト剤と組み合わせた場合の評価を進めている。今後は,薄膜トランジスタ(TFT)基板の電極や有機ELパネル,半導体など向けにも,撥液剤を展開する計画だ。2010年から採用を加速させるとともに用途を拡大し,2012年には30億円の販売を目指す。

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