米Googleの書籍本文検索プロジェクト「Google Book Search」を巡り,同社と和解合意していた作家団体Authors Guildおよび米国出版者協会(AAP:Association of American Publishers)は米国時間2009年9月22日,和解案承認を判断する最終審理の延期を米ニューヨーク州南部の連邦地方裁判所に申請した。

 Googleと両団体などの間で合意した和解案に対しては,9月8日の時点で,約400にのぼる異議,参考意見,声明などが寄せられた。その中には,個人や企業,あるいはドイツやフランスなどの米国外からの声明のほか,コネチカット州,カンザス州,ミズーリ州,ペンシルバニア州,テキサス州,ワシントン州の司法長官からの反論も含まれる。

 また,米司法省も同和解案について調査を行い,多数の懸念に配慮して和解案を見直すよう求める意見を9月18日に裁判所に提出している。

 Authors GuildとAAPはこれらの反応に配慮し,公聴会を予定通り10月7日に開くのは適切ではないと考えた。Googleも延期に同意済みという。

 Google Book Searchは,世界の大規模図書館の蔵書をスキャンしてデジタル化し,インターネットで全文検索ができるデータベースを作成するというもの。Authors GuildやAAP加盟出版社は,同プロジェクトが著作権侵害に当たるとして2005年にGoogleを提訴したが,2008年10月に和解合意に達した(関連記事:Google,書籍本文検索プロジェクトで出版業界と和解 )。問題の和解案では,Googleが総額1億2500万ドルを支払うほか,デジタル化された作品の著作権保持者が登録するレジストリ「Book Rights Registry」の構築,著作権保持者が分からない孤児作品(orphan books)の提供などが含まれる(関連記事:Google,書籍本文検索プロジェクトで出版業界と和解)。

 和解案に反対する図書館関係者,法学者,作家,出版社,技術企業などで組織されたOpen Book Allianceは,公聴会延期の報告を受け,「Googleと出版業界が和解案の無効に同意したのも同然だ。これは,和解案が公共の利益にならず,革新や競争を妨げるという重大な懸念を示していた人々や団体にとっての勝利だ」とのコメントを発表した。

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[発表資料(2)]
[発表資料(3)]