米国際貿易委員会(ITC)は2009年9月9日,液晶パネルに関する特許侵害調査(No. 337-TA-634)に関して,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.側の再審請求を却下した。

 この調査は2008年3月4日,シャープの申し立てで開始したもの。シャープは,同社の米国特許6879364号,6952192号,7304703号,7304626号をSamsung社が侵害しているとして,該当するSamsung社の液晶パネルやその応用製品などについて,米国への輸入や米国での販売を差し止めるよう,ITCに訴えていた。これを受けてITCはSamsung社の米国法人や米Samsung Semiconductor, Inc.を調査。2009年6月12日,Samsung社の侵害を認める仮決定を下した。同6月29日,Samsung社はこれを不服として再審を請求したが,ITCは仮決定を支持した。

 今後,ITCは,市場の競争環境などを考慮した上で,輸入禁止や販売停止など,特許侵害に対するなんらかの措置を決定する。ITCの命令は,米通商代表部が60日以内に拒否しない限り,最終決定として効力を持つ。

 シャープとSamsung社は液晶パネルに関する特許を巡って,世界各地で係争を繰り広げている。ITCでは,今回の件に先行して,Samsung社がシャープの特許侵害を訴えたケースでも調査が進められた。こちらはSamsung社の言い分が認められた形になっており,ITCは2009年6月24日,Samsung社の特許を侵害しているシャープ製の液晶パネルや液晶モジュール,液晶テレビの米国への輸入や米国での販売の禁止を命じた。