住友スリーエム(本社東京)は,HCFC(ハイドロ・クロロ・フルオロ・カーボン)や臭素系溶剤を代替するフッ素系溶剤「<3M><ノベック>HFE-72DE」(ハイドロ・フルオロ・エーテル)を発売した。不燃性で,実用上は無毒という。各種洗浄や希釈に使える。内容量が22.7kgのペール缶入りと,249kgのドラム缶入りがあり,価格は1kg当たり2800円(税別)。

 代替フロンの一つにHCFC-141bがある。これは,グリスやワックス,切削油などが付着した一般金属加工品や機械部品の洗浄などに利用されていたが,環境負荷が大きいことから,既に生産と輸入が中止されている。現在では,洗浄用途にはHCFC-225や臭素系溶剤であるn-ブロモプロパンなどを使うのが一般的だ。

 しかし,HCFCはオゾン破壊係数が低くないため,モントリオール議定書で2020年に生産を終了することが決まっている。n-ブロモプロパンについても健康への影響が懸念されており,2009年10月施行の改正化管法(化学物質排出把握管理促進法:PRTR法)では,第一種(人や生態系への有害性を有する恐れがあり,環境中に継続的に広く存在すると認められる化学物質)に区分されている。そのため,HCFCや臭素系溶剤の代替品へのニーズが高まっているという。

 新製品は,無色透明で沸点が43℃のフッ素系溶剤だ。オゾン破壊係数は0.00,地球温暖化係数は43。米国環境保護局(EPA)が定める特定フロン代替物リスト(SNAPリスト)では,「制限なしに使用可」に分類されている。そのため,これまでHCFCや臭素系溶剤を利用してきた各種洗浄に利用できる。さらに,溶解性を示すKB値がHCFC-141bと同等のため,フッ素系オイルやコーティング剤の希釈にも使える。

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