昭和シェルソーラーの「CIS太陽電池」
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同太陽電池のパネル表面
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記者会見の出席者。左から,昭和シェルソーラー 代表取締役社長 兼,昭和シェル石油 専務執行役員の亀田繁明氏,昭和シェル石油 代表取締役会長の香藤重常氏,同社 代表取締役社長の新井純氏。
記者会見の出席者。左から,昭和シェルソーラー 代表取締役社長 兼,昭和シェル石油 専務執行役員の亀田繁明氏,昭和シェル石油 代表取締役会長の香藤重常氏,同社 代表取締役社長の新井純氏。
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 昭和シェルソーラーは,宮崎県にある日立プラズマディスプレイの工場を購入し,CIGS系太陽電池「CIS太陽電池」の第3工場として,900MW/年の規模で2011年に稼動させると発表した(第一報)。この件で昭和シェル石油と昭和シェルソーラーは記者会見し,事業の見通しや新しい太陽電池パネルの詳細について明らかにした。

 それによれば,第3工場で生産するパネルのエネルギー変換効率は多結晶Si型太陽電池に並ぶ13~15%が見込めるという。同社が2009年6月に量産を開始した,生産規模60MW/年の第2工場でのパネルの効率は約10%だった。同社は神奈川県厚木市の研究所で,30cm角のモジュールで効率15.7%を得ていることを明らかにしている(関連記事)。

 環境にやさしいこともアピール・ポイントの一つだ。CIGS系で効率15%を超える太陽電池は研究開発レベルで既にあるが,その多くがカドミウム(Cd)をバッファ層として,量はわずかながらも利用している。これに対し,昭和シェルソーラーは,新パネルについても「Cdや鉛(Pb)は利用しない」という。

 製造コストについて具体的な値は明らかにしなかったが,「(CdTe系太陽電池で1W当たり1米ドル以下を達成した)米First Solar社と競争することになる。今回は厚木で量産用製造装置の試験が成功し,コスト競争力の点でも事業性に見通しが付いた」(昭和シェルソーラー 代表取締役社長の亀田繁明氏)と述べ,1W当たり1米ドルの達成も視野にあることを示唆した。

 第3工場として,元・日立プラズマディスプレイの宮崎工場を利用する理由には熟練労働者を確保しやすい点を第一に挙げる。「PDPとCIS太陽電池の製造工程は,1カ所を除くとほぼ同じ。PDPの製造工程を熟知した従業員であれば,より早く適応できる」(昭和シェルソーラーの亀田氏)。



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