総務省は2009年9月4日,平成22年度予算の概算要求のうち,地上デジタル放送に関連した予算,総額約900億円の内訳を説明した(Tech-On!の関連記事)。情報通信審議会 情報通信政策部会の第49回「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」で行ったもの。

 内訳は以下の通り。

項目金額種別
●国民への説明・相談体制等の強化
デジサポによる受信相談・現地調査等110億6000万円継続
地デジコールセンターの運営18億4000万円継続
●円滑な移行が困難な方への支援
受信機器購入等の支援337億7000万円継続
高齢者・障害者等への働きかけ,サポート107億1000万円継続
●共聴施設のデジタル化改修等の支援
辺地共聴施設のデジタル化の支援60億4000万円拡充
受信障害対策共聴施設のデジタル化の支援57億1000万円拡充
集合住宅共聴施設のデジタル化の支援19億2000万円新規
●その他送受信環境の整備等
デジタル中継局の整備支援43億4000万円拡充
デジタル混信対策10億8000万円継続
デジアナ変換の導入による円滑な受信環境整備の推進18億8000万円新規
新たな難視地区に対する受信側対策の支援18億2000万円新規
暫定的な衛星利用による難視聴対策87億円継続
アナログ停波後のチャンネル切替8億1000万円拡充
その他(地方局経費,各種調査等)2億3000万円継続

 新たに「集合住宅共聴施設のデジタル化の支援」「デジアナ変換の導入による円滑な受信環境整備の推進」「新たな難視地区に対する受信側対策の支援」の三つが予算に盛り込まれた。

 「集合住宅共聴施設のデジタル化の支援」では,共聴施設の管理者に対して費用を補助する。共聴施設を改修する費用の2分の1を補助するか,ケーブルテレビに移行する場合は契約時に必要な初期費用の2分の1を補助する。ちなみに集合住宅の共聴施設のデジタル化対応状況は,全国的には9割以上の県が多いが,UHFアンテナが設置されていない集合住宅が多い関東各都県やアンテナの方向調整が必要な京都府,愛知県などでは低い。埼玉県で13.9%,東京都で22.5%,千葉県で23.8%,神奈川県で25.2%,京都府で25.6%,愛知県で49.3%である。

 「デジアナ変換の導入による円滑な受信環境整備の推進」では,共聴施設の代替となるケーブルテレビ事業者に対し,デジタル‐アナログ変換の導入に必要な費用の3分の2を補助する。ケーブルテレビ事業者が地デジをアナログに変換して送信することで,地デジ対応テレビを持たない世帯が多い共聴施設でも,ケーブルテレビによる地デジ視聴に移行しやすくする狙いがある。

 「新たな難視地区に対する受信側対策の支援」では,アナログ放送では難視地区でなかったにもかかわらず,地デジでは難視地区になった場合に補助を行う。ケーブルテレビへの移行と高性能アンテナによる対策の2通りがあり,いずれも全額を補助する。ただし,地デジは原理的にアナログ放送より難視聴問題が起こりにくいとされており,こうしたケースは少ないと考えられる。