川崎重工は,欧州の同社現地法人カワサキ・ガスタービン・ヨーロッパ社(本社ドイツ・フランクフルト)のポルトガル販売会社であるエネルゲタス社と共同で,ポルトガル電力公社から2基のガスタービン発電設備を受注した。具体的には,18MWクラスの「GPB180D」と,7MWクラスの「GPB80D」である。それぞれの発電設備には,川崎重工製の高効率ガスタービン「L20A」と「M7A-03D」が採用されている。「L20A」は欧州での初受注となる。欧州では,EUによる環境規制の強化などから,今後もガスタービン発電設備の需要増が見込めるという。

 L20Aは最新型の純国産高効率ガスタービン。また,M7A-03Dガスタービンを搭載したGPB180Dは,市場で実績があるガスタービン発電設備「GPB60D」や「同70D」をベースに開発したもので,「GPB70D」に比べ出力が約10%,熱効率が2.9ポイント向上している。

 ポルトガル電力公社は,同公社のバレイロ発電所内にある石油焚きボイラ発電設備を更新し,ガスタービン発電設備および排熱回収ボイラで構成するコージェネレーション設備を設置する。ガスタービン発電設備は,ガスタービンによる発電に加えて,排ガスの熱を利用して排熱回収ボイラで蒸気を発生させ,その蒸気を近隣のアクリル繊維工場に供給する仕組み。総合効率は82%に達する。燃料を原油から天然ガスに転換することによるCO2削減など,環境保全に配慮したエネルギ供給システムの構築が見込まれている。運用開始は2010年1月の予定。