図1◎三菱重工業副社長の福江一郎氏
図1◎三菱重工業副社長の福江一郎氏
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図2◎三菱重工が投入するLiイオン電池(左と中央がセル、右がモジュール)
図2◎三菱重工が投入するLiイオン電池(左と中央がセル、右がモジュール)
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 三菱重工業は2009年8月26日、Liイオン電池事業に本格的に参入することを発表した。年産66MWh規模の量産化実証工場を2010年秋までに長崎造船所内に建設・稼働させる。フォークリフトといった産業車両や電気バスなどの移動体用および、風力発電や太陽光発電と組み合わせる系統連携や電力貯蔵などの定置用に向けて投入する。電気自動車用に関しては、「別のモデルを考えている」(同社副社長の福江一郎氏:図1)とする。

 同社は1988年から九州電力と共同で電力貯蔵用大型電池の研究を進めており、その成果を生かして、このほど移動体用の中型電池(定格容量165Wh、110mm×38mm×166.5mm、1.4kg)と、定置用の大型電池(定格容量350Wh、116mm×66.5mm×175mm、2.8kg)の2種類を製品化する(図2)。角形の積層方式であり、競合他社が採用するスパイラル方式より体積効率が良いとする。特に中型電池はエネルギー密度で120Wh/kg、出力密度で2400W/kgとなり、「ほかの電池メーカーの公表値に比べても高い性能」(福江氏)と言う。 さらに長寿命であることを特徴として挙げたが、サイクル寿命など具体的な数値は述べなかった。記者発表会の質疑応答では、「安全性が高く長寿命であることを売りにする東芝の電池と同じような材料を使っているのか」との問いに対し、「東芝の材料とは異なるが、十分な安全性や長寿命を実現している」(図2)と答え、具体的な電極材料の種類は明らかにしなかった。

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