図1 国内コンテンツ産業の市場規模。DCAJのデータ
図1 国内コンテンツ産業の市場規模。DCAJのデータ
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図2 コンテンツ産業の市場規模,5年間の推移。DCAJのデータ
図2 コンテンツ産業の市場規模,5年間の推移。DCAJのデータ
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図3 国内デジタル・コンテンツ産業の市場規模。DCAJのデータ
図3 国内デジタル・コンテンツ産業の市場規模。DCAJのデータ
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 デジタルコンテンツ協会(DCAJ)は,毎年実施しているコンテンツ産業の市場調査を行い,その結果の一部を公表した。産業団体などの公表値に基づいてDCAJが推計した結果,2008年の国内コンテンツ産業の市場規模は前年比2.6%減の13兆8282億円だった。今回の調査結果は,2009年8月27日にDCAJが「デジタルコンテンツ白書2009」を発刊するのに合わせて発表したものである。

 国内コンテンツ産業の市場規模は,2006年の14兆2493億円をピークに,2007年は0.4%減少し,2008年も減少が続いたことになる。これについてDCAJは,「少子高齢化に伴う人口構造の変化,コンテンツの種類の増加や楽しみ方の多様化による大ヒットの減少,インターネットで流通するコンテンツの価格の安さ,といったコンテンツ産業の構造的な要因から,市場規模は減少傾向にある」と指摘する。2008年には経済状況の悪化の影響が加わって減少幅が大きくなったとみている。

 2008年のコンテンツの分野別の割合は,「図書・新聞,画像・テキスト」が44.1%,「映像」が34.6%,「音楽・音声」が12.9%,「ゲーム」が8.4%だった(図1)。いずれの分野も2007年比で市場規模は小さくなっているが,分野別の割合に大きな変化は見られない。「どの分野のコンテンツにどの程度触れるか,という利用スタイルに劇的な変化は起こっていない」(DCAJ)ためとみられる(図2)。

 流通メディア別の割合は,「パッケージ流通」が49.2%,「放送」が28.5%,「拠点サービス流通」が12.5%,「インターネット流通」が5.6%,「携帯電話流通」が4.2%だった(図1)。減少傾向が鮮明なのはパッケージ流通で,2007年から割合が50%未満となっている。その減少分を補っているのがインターネット流通と携帯電話流通で,市場規模はそれぞれ2007年比で12.6%と17.5%増加した(図2)。

 DCAJが「利用する段階でデジタル形式となっているもの」と定義するデジタル・コンテンツの国内市場規模は,2008年は前年比5.9%増の5兆8964億円だった(図3)。デジタル化率は42.6%で,前年の39.2%から上昇した。デジタル・コンテンツの市場規模は,「映像」が前年比19.5%増,「図書・新聞,画像・テキスト」が前年比11.4%増となったことが成長を牽引した。映像ではテレビ・チューナーのデジタル比率の向上,図書・新聞,画像・テキストではインターネット広告やモバイル広告の増加,携帯電話配信の増加などが主な要因である。

 デジタル・コンテンツの流通メディア別割合は,「パッケージ流通」が30.3%,「放送」が25.8%,「拠点サービス流通」が20.9%,「インターネット流通」が13.2%,「携帯電話流通」が9.8%だった(図3)。流通メディア別の市場規模では,パッケージ流通が前年比3.3%減となる一方で,携帯電話流通が17.5%増,インターネット流通が12.6%増となった。物理メディアの流通から,ネットワークを使った流通への移行が進んでいる様子がうかがえる。

 DCAJがデジタルコンテンツ白書2009で指摘していることの一つが,「日本の総人口が伸びない中,コンテンツ産業が進展していくためには,新しいビジネスモデルの開拓はもとより海外展開を抜きにしては考えられない」という点である。ただし,「現在はコンテンツの輸出金額を公表している団体などが少なく,総額は推計できない」(DCAJ)という。「日本のコンテンツは国内市場指向で,海外に進出しようと考える人が一部にとどまっている。輸出金額があまり公表されないのは,まだまだ規模が小さいからではないか」(同)とした。