米Googleの音声通信管理サービス「Google Voice」のiPhone向けアプリケーションを,米Appleがアプリケーション配信サービス「App Store」から排除したとされる問題について,Appleは米連邦通信委員会(FCC)の質問状に対する回答を2009年8月21日に公開し,排除していないと否定した。

 また,米AT&Tと相談したかとの質問に対しても,AppleはApp Storeのアプリケーション承認に関してAT&Tと協議したことはなく,単独で対応していると回答。AT&Tも,Google Voiceに限らず,Appleからアプリケーションの承認に関して相談を受けたことはないという主旨の回答を公開している。

 この問題については,AppleがGoogle Voiceおよびこれに関連するサード・パーティ製アプリケーションを,App Storeで配信するアプリケーションとして承認しなかったことを,2009年7月に米メディア各社(CNET News.comNew York Timesなど)が報じた。FCCは7月31日,GoogleとApple,AT&Tに質問状を送り,調査に着手した(関連記事:App StoreでのGoogle Voice承認拒否問題で,FCCが調査開始 )。

 Appleの回答によると,「Google Voice」のiPhone向けアプリケーションは現在調査段階のため,まだ承認がおりていない。理由は,同アプリケーションが,iPhoneの携帯電話としての中核機能やユーザー・インタフェースを,自身の機能で置き換えることにより,iPhone独特の「ユーザー体験」を改変してしまうことが判明したためという。置き換えられる具体的な機能としてAppleは,通話発信のアイコンの表示,ボイスメールの保存,テキスト・メッセージングの管理などを挙げた。

 Appleは,他の機能にも影響があるかどうか引き続き調査するとしている。しかし,「同アプリケーションのSafariブラウザ経由での配信はGoogleの自由であり,(iPhoneでGoogle Voiceを使うかどうかは)消費者自身が選択できる」と主張した。

 Appleによると,App Storeのアプリケーション検討プロセスでは,消費者のプライバシを侵害したり,子供が不適切なコンテンツにアクセスできるようにしたり,iPhoneの中核機能を妨げたりするものを拒否している。またバグが見つかったものは,開発者にフィードバックして修正を要請する。申請されたアプリケーションの95%は14日以内に承認されている。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]