図1◎医療機器製造販売承認を取得した,クラレメディカルの人工骨インプラント「リジェノス」
図1◎医療機器製造販売承認を取得した,クラレメディカルの人工骨インプラント「リジェノス」
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図2◎人工骨インプラントの断面。一方向に連通孔(配向連通孔)を持つ
図2◎人工骨インプラントの断面。一方向に連通孔(配向連通孔)を持つ
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 クラレメディカルは2009年8月20日,人工骨インプラント「リジェノス」がこのほど医療機器製造販売承認を取得したと発表した(図1)。同インプラントは,病気やけがで骨移植が必要となったときの治療に使われるもの。まず,一部の施設を対象に限定販売した後,全国展開する方針だ。

 骨移植の方法は,(1)自分の骨を他の部分から切り取って移植する自家骨移植(2)他人の骨を移植する他家骨移植(3)人工骨インプラントによる補填――の3種類がある。国内では現在,(1)の自家骨移植が主流だが,この方法だと患者自身の健常な骨を切り取らなければならない。これに対し,(3)の人工骨インプラントによる補填はその必要がなく,自家骨移植に代わる骨移植として注目されている。

 同社が医療機器製造販売承認を取得した人工骨インプラントは,ハイドロキシアパタイト製で,一方向に連通孔(配向連通孔)を持つ(図2)。その気孔率は体積比で75%,孔径30μm以上の気孔に限れば同55%以上という。これにより,血液や骨細胞など生態組織が侵入しやすくなり,周辺骨との一体化やインプラント内部での骨再生の補助に適している。

 人工骨インプラントのクラス分類は高度管理医療機器(クラスIII)で,医療機器承認番号は22100BZX00818000。なお,今回の成果は,物質・材料研究機構生体材料センター無機生体材料グループと筑波大学臨床医学系整形外科との共同研究による。