図◎Liイオン電池のエネルギー密度と出力密度〔作成協力:旭化成 吉野彰氏、出典:「環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像」(テクノアソシエーツ)〕
図◎Liイオン電池のエネルギー密度と出力密度〔作成協力:旭化成 吉野彰氏、出典:「環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像」(テクノアソシエーツ)〕
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 テクノアソシエーツは、この度発行した調査レポート「環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像」の中で、Liイオン電池(LIB)の技術ロードマップを独自の視点で仮説を構築した。(1)高容量化、(2)高出力化、(3)低コスト化、(4)安全性、(5)高信頼性、の5項目から構成し、電気自動車や電力貯蔵に使う中・大型のLiイオン2次電池を対象としている。

 (1)高容量化は、電池の質量当たりの容量を表すエネルギ密度(Wh/kg)の推移を予測した。クルマでいえば、搭載する電池のエネルギ密度が高いほど航続距離が長くなる。現在(2009年)は100Wh/kg前後であり、2015~2020年に黒鉛系負極/酸化物系正極の限界に近い150~200Wh/kgまで向上、2020年以降はSi合金系負極/新規酸化物系正極を採用して250~300Wh/kgを達成する。2030年以降は、Liイオン2次電池の枠を外れたLi-空気電池、Li-硫黄電池などの革新型蓄電池が登場し、500~700Wh/kgに達する(図)。

 (2)高出力化は、電池の質量当たりの出力を表す出力密度(W/kg)の推移を予測する。クルマでいえば、電池の出力密度が高いほどパワーが出やすくなる。充電時の電流を多く流せることにもなるため、充電時間の短縮にもつながる。現在(2009年)は、2000~3000W/kg、2015~2020年に3000~4000W/kg、2020年以降は4000~5000W/kgとなるが、そこから先は頭打ちとなり、むしろエネルギ密度の向上に力を注ぐことになる。 

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