図1◎Liイオン2次電池搭載車の各社計画(報道資料をもとにテクノアソシエーツ作成)
図1◎Liイオン2次電池搭載車の各社計画(報道資料をもとにテクノアソシエーツ作成)
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図2◎各社の自動車用Liイオン2次電池(テクノアソシエーツ作成)
図2◎各社の自動車用Liイオン2次電池(テクノアソシエーツ作成)
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 Liイオン2次電池を自動車に搭載することは、これまで実験車両や一部の商用ハイブリッド車(HEV)などに限られていた。しかし、ここにきてLiイオン2次電池を自動車に採用する動きが本格化している。今年、Liイオン2次電池を搭載する電気自動車(EV)を発売した三菱自動車と富士重工に続き、トヨタ、日産、ホンダ、米GM社、ドイツVWグループは、今後3年以内にLiイオン2次電池搭載のEVやHEVを発売する計画である(図1)。

 これまで自動車にLiイオン2次電池の採用が進まなかった理由の一つに、安全性の問題がある。自動車メーカーや電池メーカーは、従来の材料に改良を加えたり、新材料を開発することで、自動車用Liイオン2次電池の安全性を確保しようとしている。Liイオン2次電池は、何らかの原因により電池内部で材料が燃え、異常発熱、発火することがある。これまで、パソコンや携帯電話などLiイオン2次電池の実用化で先行する民生機器の分野では、Liイオン2次電池に係わる発熱・発火事故が相次いでいる。

 自動車メーカーや電池メーカーは、軽量・高容量というLiイオン2次電池の特長を生かした自動車用電池の実用化を目指して、材料の改良・開発に取り組んできた。Liイオン2次電池をHEVやEV用電池として使用する場合、減速時の効率的なエネルギ回収のための瞬間的な大電流の受け入れ、EVの利便性向上に必要な外部電源からの急速充電、車体への衝撃や衝突など外力による電池形状の変形や、内部材料の圧迫に起因する内部短絡からの保護など自動車特有の安全性に関する要求を満たす必要がある。

 現在、国内メーカーから量産が発表されている自動車用Liイオン2次電池は、正極の材料により、三元系とマンガン系と呼ばれるものに大別される(図2)。

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