2009年8月末に米国で発売するReaderの新機種「Reader Pocket Edition」。価格は199米ドル。
2009年8月末に米国で発売するReaderの新機種「Reader Pocket Edition」。価格は199米ドル。
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 米Sony Electronics社は,同社の電子書籍端末「Reader」向けのオンライン・ストアで配信する書籍コンテンツのフォーマットを,「EPUB」に完全移行すると発表した。2009年内に実施する。

 EPUBは,米国の電子出版関連の業界団体である「IDPF(International Digital Publishing Forum)」が定めた電子書籍コンテンツの標準ファイル・フォーマット。XMLベースで,ファイルの拡張子は「.epub」となる。米国では既に,EPUB形式でコンテンツを用意する出版社が増えている。

 Sony Electronics社のオンライン・ストアで用意する書籍コンテンツのフォーマットはこれまで,同社が開発した「BBeB」をベースにした独自のものだった。ただし,2008年7月には電子書籍端末「Reader」をEPUB形式にも対応させた。さらに,2009年3月に提携した米Google Inc.がSony Electronics社のオンライン・ストア上に用意するパブリック・ドメインのコンテンツはEPUB形式であるなど,着々とオープン化の方向に進みつつあった。Sony Electronics社のオンライン・ストアは今後,同社のReaderだけでなく,EPUBをサポートするあらゆる端末に対応することになる。

 今回,書籍コンテンツを完全にEPUB形式に統一したのは,Sony Electronics社が米Amazon.com,Inc.との明確な差異化を図るのが狙いとみられる。Amazon.com社のオンライン・ストアで用意する書籍コンテンツは同社独自の「AZW」形式であり,基本的には同社の端末である「Kindleシリーズ」でしか読むことができない。

 Sony Electronics社は2009年7月,米Google社との提携によって,100万以上のパブリック・ドメインのコンテンツがダウンロード可能となり,「世界最大」の品ぞろえをほこる電子書籍ストアになったと発表(Tech-On!関連記事)するなど,オンライン・ストアの競争力強化にも力を注いでいる。