住友商事は、カザフスタンの国営原子力公社カザトムプロム社と、ウラン鉱石残渣(さ)からレアアースを回収する事業に合意した。両社が協力してカザフスタン国内に存在する残渣からの回収事業を独占的に行い、新たなレアアース資源ソースの確立に乗り出す。住友商事は、既にカザトムプロム社と日本初のウラン鉱山開発事業を推進しており、同社とは2件目の共同事業になる。

 回収するレアアースにはハイブリッド車や電気自動車のモータに欠かせないDy(ディスプロシウム)やNd(ネオジム)を豊富に含む。今まで日本は、両元素のほぼ全量を中国から輸入してきたが、カザフスタンが新たな供給源となる可能性が出てきた。

 具体的には、2009年末までに合弁会社を設立し、カザトムプロム傘下のウルバ冶金工場の既存設備を活用して、ウラン鉱石残渣からのレアアース混合物の回収事業を立ち上げる予定。まず、2010年には年間3000tのレアアース分離品の生産体制を確立し、将来は現地でレアアースを使った高付加価値品の一貫生産を目指す。

 カザフ国内には、かつて露天掘りで採掘されたウラン鉱石の残渣が大量に存在している。初期調査の結果、それらの残渣にはDyやNdが豊富に含まれていることが確認されている。

 今回の事業は、既存の残渣からレアアースを回収するため、新規に鉱山を開発するを場合と比較して、(1)短期間での生産開始が可能、(2)環境負荷が低い、(3)開発コストが低減できるという利点がある。

 経済産業省資源エネルギー庁や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、この件に対して、レアアースを回収する技術開発への支援を決定した。今後も、融資など、本プロジェクト成功へ向けて、融資などの追加支援を検討する。