TDK 代表取締役社長の上釜 健宏氏
TDK 代表取締役社長の上釜 健宏氏
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 TDKは,2009年度第1四半期(4~6月)の連結決算結果を発表した。売上高は,対前年度同期比4.8%減の1815億4600万円だった。営業損益は,前年同期には53億9300万円の黒字だったが,当四半期は36億4500万円の赤字を計上した。全体的には,需給環境の低迷による売価下落の進行に歯止めがかからなかったという。受動部品の出荷は前年同期比で減少ながらも直前期(2008年度第4四半期)からは増加した。HDD用ヘッドの出荷は急回復し,前年同期比でも増加した。このように,HDD用ヘッドは好調だったが,コンデンサなどの受動部品およびEPCOSの不振を補い切れなかったようだ。

 TDKの2009年度第1四半期の連結売上高をセグメント別に見ると,「電子材料」分野は対前年度同期比37.7%減の284億6900万円,「電子デバイス」分野は同30.2%減の339億8200万円,HDD用ヘッドなどの「記録デバイス」分野は同13.7%減の625億5000万円,「その他」が同137.3%増の565億4500万円となった。今回の決算では,2008年度第3四半期に連結子会社化したEPCOSグループ製品のセグメント定義がTDKの定義と必ずしも一致していないため,EPCOSグループの売上高を「その他」に含めた。

 電子材料分野は,「コンデンサ」や「フェライトコア及びマグネット」の2事業で構成する。コンデンサ事業の売上高は前年同期比で減少した。主要品目である積層セラミック・チップ・コンデンサは,パソコン,音響・映像機器,ゲーム機,携帯電話,カー・エレクトロニクスなどの主要製品向けに軒並み販売が減少した。コンデンサ事業の減収の要因は,需要減退,価格下落,および米ドルに対する円高の影響という。フェライトコア及びマグネット事業については,売上高が前年同期比で減少した。フェライトコアとマグネットがいずれも主要市場向けで減収となった。

 電子デバイス分野は,「インダクティブ・デバイス」,「高周波部品」および「その他」の3つで構成される。インダクティブ・デバイス事業の売上高は前年同期比で減少した。特に,コイル製品とEMC製品は薄型テレビ,携帯電話,カー・エレクトロニクス向けの販売が減少し,トランスは薄型テレビ向けなどでの増収が他の市場での減収を吸収できなかった。高周波部品事業については,売上高が前年同期比で減少した。特にパソコン向けの販売が減少した。

 同社をめぐる経営環境については,2008年秋に急激に落ち込んだセット製品の需要ならびに生産は,その後,回復傾向にあるという。ただし,当四半期を前年同期比で見ると,全般的にセット製品の需要そのものは弱く,本格的回復には至っていないとする。この中で,薄型テレビ,ノート・パソコン,スマートフォンといった一部のセット製品の生産は前年同期を上回る状況になってきたという。