決算を発表するパナソニック取締役の上野山実氏
決算を発表するパナソニック取締役の上野山実氏
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 パナソニックは,2009年度第1四半期(2009年4~6月期)の連結決算を発表した。売上高は1兆5955億円(前年度同期比25.9%減),営業損益は202億円の損失(前年度同期は1096億円の利益)となり,減収・赤字転落の決算だった。ただし,期初見通しは大幅に上回っており,改善の兆しがみられるという。

 売り上げ面では,前年度同期比での減収分5565億円から為替影響分の975億円を引いた4590億円のうち,BtoC分野の減収分が1260億円,BtoB分野の減収分が3330億円となり,特にBtoB分野の落ち込みが目立つ。具体的には,FA機器やカーエレクトロニクスで大幅な減収となっている。一方,テレビや白物家電といったBtoC分野は,国内では「エコポイント」による需要底上げ効果があったほか,海外では需要が持ち直してきており,BtoB分野ほどの落ち込みにはなっていない。

 さらに,人員削減などの構造改革や,研究開発費の削減,設備投資の見直しなどが前倒しで進んだことから,営業損益面も大幅に改善。2009年度第2四半期の営業損益は2億円の利益と黒字化する見通しである。

 研究開発費は,2008年度通期実績の5179億円に対し2009年度通期は4800億円と400億円弱の削減を見込んでおり,当初計画に対して削減の前倒しが進んでいるが,4800億円という総額は維持する。一方,設備投資額は2008年度通期実績の4944億円に対し2009年度通期は3500億円と1500億円近い削減を予定していた。設備投資に関しては,今後要否の判断をあらためて行い,通期で3500億円よりも少ない額になる見込みだという。

 こうした状況を受け,同社は2009年度上期業績を上方修正した。修正後の売上高は3兆3000億円(期初発表値に対して400億円の増加),営業損益は200億円の損失(同850億円の改善)である。通期の業績見通しは据え置いている。