セイコーエプソンは,2009年4~6月期の決算を発表した(発表資料)。売上高は前年同期比29.9%減の2133億9800万円。営業損益と純損益はそれぞれ124億4100万円,223億6500万円の損失となり,2010年度は赤字発進となった。各事業セグメントとも前年同期比で減収となったが,特に主力であるプリンターなどの「情報関連機器事業」とディスプレイなどの「電子デバイス事業」の落ち込みが大きい。

 情報関連機器事業の売上高は,前年同期比23.7%減の1564億8000万円で,12億8700万円の営業損失(前年同期は216億4900万円の営業利益)となった。インクジェット・プリンター市場は,コンシューマー用途,ビジネス用途ともに低調に推移した。とりわけビジネス向けのプリンター市場では,「景気回復の遅れを感じる」(セイコーエプソン 常務取締役 経営戦略本部長の久保田健二氏)という。

 また,電子デバイス事業の売上高は,前年同期比42%減の508億6800万円で,営業損失は85億8700万円(前年同期は25億600万円の営業利益)となった。携帯電話機やデジタル・カメラ向けの中小型ディスプレイの数量が減少した影響を受けた。液晶プロジェクター向けTFT液晶パネルも,低調な市場の影響を受けたとする。

 なお同社は2009年3月に,事業基盤の再構築などを盛り込んだ中期経営方針を策定した。今期の赤字については「最も厳しい損益を予想していた」(久保田氏)とし,通期(2009年4月から2010年3月)決算では「経常利益でブレークイーブン」(同氏)になる見込み。