図1 マツダの尾崎清氏
図1 マツダの尾崎清氏
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 マツダは2009年7月30日,2009年度第1四半期(4~6月期)の決算を発表した。為替が期初の想定より円安であったことに加えて,経費を削減した効果により前期(2008年度第4四半期)と比べて営業損失が369億円縮小し,280億円の赤字だった。売上高は前年同期比44.5%減の4282億円,純利益は215億円の赤字である。

 営業損失が前期と比べて369億円改善した内訳は,為替分で約100億円,ロシア向け在庫の評価損がなくなったことで約100億円,販売奨励金や固定費などの削減で約169億円となる。

 ただし通期の見通しは変更せず,500億円の営業損失を見込む。「為替の変動が依然として不透明なことに加えて,特に欧州の需要が見えない」(マツダ 代表取締役 専務執行役員兼CFOの尾崎清氏)ためである(図1)。例えばドイツでは,需要を下支えしている「政府によるインセンティブの予算が10月ごろになくなる」(尾崎氏)可能性がある。加えて,インセンティブ終了後の反動も大きな懸念材料とみる。ドイツではインセンティブの影響で現在,価格破壊が起きている状況にあるからだ。「140~150万円の車両が60万円で売られている」(同氏)場合もあるという。この状況下でインセンティブが終了すると,車両価格の上昇を補うために「政府インセンティブが,メーカー・インセンティブ」(同氏)に移り変わるかもしれない。

 世界の販売台数は前年同期比26%減の26万3000台となった。地域別にみると日本,北米,欧州,その他の市場で減少し,中国で増加した。日本では,前年同期比25%減の4万1000台となった。ただし「今期に限れば,日本の需要についてそれほど心配していない」(尾崎氏)という。エコカー減税などの効果で需要は堅調と見込む。その上2009年6月11日に発売した「アクセラ」の販売が好調で,発売以来1カ月で月間販売目標の3.8倍となる7600台を受注した。ちなみに,アクセラで排気量2Lの前輪駆動車に標準装備となるアイドリング・ストップ機構「i-stop」の装着率は5割以上と「想定を上回る結果」(同氏)にある。

 北米では前年同期比32%減の7万4000台となった。米国についても日本と同様に,「これから始まる政府によるインセンティブで,需要は堅調」(尾崎氏)とみる。欧州の販売台数は,同37%減の5万9000台である。一方,中国では同27%増の4万1000台となった。特に「Mazda 6」(日本名は「アテンザ」)の販売が好調だとする。

■変更履歴
記事本文中でアクセラのi-stopを「オプション品」としていましたが,正しくは「排気量2Lの前輪駆動車に標準装備」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。