三洋電機は2009年度第1四半期(4月~6月)の業績を発表した。売上高は前年同期比24.7%減の3612億9300万円,営業損失は89億7600万円,純損失が169億2700万円だった。構造改革などで固定費を約210億円削減し,前期に比べて赤字幅を縮小した。「売り上げ,損益ともに期初予測を上回った。部品を中心に底打ち感が出てきている。(2009年)6月単月では全社として黒字化を達成した」(代表取締役副社長の前田孝一氏)という。

 半導体や電池などを扱うコンポーネント部門の売上高は前年同期比29%減の1640億円だった。主力のLiイオン2次電池は販売数量が回復したものの,平均販売単価が落ち込んだため減収減益になった。ただし,Liイオン2次電池の工場稼働率は80~85%まで回復しており,第2四半期以降さらに上昇する見込みという。太陽電池は日本市場向けが好調だったものの欧州市場の需要減をカバーできず減収。光ピックアップなどの電子部品は販売数量ベースで底を打ったとする。

 コンポーネント部門の営業損失(消去前)は19億円だった。前年同期からは157億円の悪化だが,前期に比べると110億円ほど赤字幅が小さくなっている。大規模な構造改革の断行(Tech-On!関連記事)により半導体事業の赤字が減った。「(年間売上高が)2000億円規模だったものを1100億円程度まで小さくした。スリム化したということ」(前田氏)。半導体事業は2009年6月単月で黒字に転じたといい,第2四半期(7月~9月)は数十億円の黒字を計上する見通し。三洋電機はパワー半導体に経営資源を集中する事業方針を掲げている。第1四半期のパワー半導体の売り上げは半導体事業の7割程度を占めており,同社は今後これを8割程度まで引き上げるとした。

決算説明会の様子
決算説明会の様子

 デジタル家電や白物家電を扱うコンシューマ部門の売上高は前年同期比21%減の1416億円だった。販売数量は回復傾向にあるものの,平均販売単価が大きく落ち込んでいるという。販売数量では,液晶テレビやデジタル・カメラ,ETC車載器,カーナビなどが期初計画を上回った。米Circuit City Stores,Inc.の倒産(Tech-On!関連記事)を受けて,米Wal-Mart Stores, Inc.の集客が拡大したため,Wal-Martを通じて販売している三洋電機のテレビも売り上げが伸びたとする。コンシューマ部門の営業利益(消去前)は販売機種の絞り込みなどの効果で前年同期に比べて26億円改善し,15億円の黒字になった。

 三洋電機は,第1四半期のデジタル家電や電子部品の需要が想定を上回ったことを受け,2009年上期(4月~9月)の業績予想を上方修正した。売上高は前回予想に400億円上乗せして8000億円,営業損失は前回予想より150億円少ない50億円とする。なお,下期の景気動向が不透明であるとして,通期の予想は修正しなかった。

 報道関係者向けの決算説明会で前田氏は,パナソニックによる株式公開買付けに向けた準備の進捗について「電池事業に関する独占禁止法のクリアランスが第4コーナーに入ったところ」と述べた。子会社化による事業再編の可能性については「心配なのは半導体がどうなるか。ただし,半導体事業は組織がスリム化しているので,どういう経営判断が下っても対応しやすいと思う」(前田氏)とした。