三菱電機 常務執行役 経理部長の吉松裕規氏
三菱電機 常務執行役 経理部長の吉松裕規氏
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 三菱電機の2009年度第1四半期(4月~6月)決算は,営業利益73億円と黒字を確保した。売上高が前年同期比20%減の6994億円,営業利益も同89%減と厳しい状況は続いているが,前期(1月~3月)の営業損失263億円の赤字から黒字転換した。

 ただ,2009年度上期(4月~9月)や通期(2009年4月~2010年3月)の業績見通しは変えていない。上期の売上高は前年同期比16%減の1兆6000億円,営業利益はゼロ,通期の売上高は前年同期比6%減の3兆4300億円,営業利益は同57%減の600億円という見通しのままである。「産業メカトロニクス,電子デバイス,家庭電器の3分野の市場は不透明」(三菱電機 常務執行役 経理部長の吉松裕規氏)として,慎重な姿勢を崩さない。

重電と情報通信が増収,産業メカトロ・電子デバイス・家庭電器は減収

 第1四半期の業績を事業セグメント別に見ると,前年同期比で増収となったのは,重電システム部門と情報通信システム部門である。

 重電システム部門は,売上高は前年同期比6%増の2069億円となった。営業利益は,売り上げ案件の変動などにより,前年同期比7億円減の121億円である。海外の交通事業や国内外の発電事業が,受注・売り上げともに前年同期を上回った。ただ,ビル事業が,世界的な昇降機の需要減少や大口案件の延期・中止などにより,受注・売り上げとも前年同期を下回ったとする。

 情報通信システム部門は,通信事業や情報システム・サービス事業の売り上げが前年同期を下回ったが,電子システム事業が牽引役となり,増収・増益となった。売上高は前年同期比3%増の1077億円,営業利益は同6億円増の19億円である。

 一方,産業メカトロニクス,電子デバイス,家庭電器の3部門は,前年同期比で減収・減益となった。

 産業メカトロニクス部門は,世界的な工作機械需要,韓国・台湾でのFPD関連需要,国内の実装機関連需要の低迷により,FAシステム事業が受注・売り上げともに前年同期を下回った。自動車機器事業も,中国の一部地域を除く世界的な需要低迷の影響を受けた。この結果,売上高は前年同期比43%減の1438億円,営業損失は同390億円悪化の25億円となった。

 電子デバイス部門は,売上高は前年同期比41%減の290億円,営業損失は同41億円悪化の25億円となった。半導体事業が,産業用パワー半導体,DVDレコーダ用レーザー・ダイオード,国内携帯電話機用パワー・アンプなどの需要低迷により,受注・売り上げとも前年同期を下回ったという。液晶事業も,産業用製品の需要低迷でふるわなかった。

 家庭電器部門は,エコポイント制度の効果などにより一部の家電製品の売り上げが増加したとする。特に,液晶テレビや大容量タイプの冷蔵庫が非常に伸びたという。ただ,国内外の空調機や海外向けの太陽光発電システムの出荷減により,売上高は前年同期比25%減の1907億円,営業利益は同134億円減の80億円となった。