同社の本社オフィス(目黒)のドアに張られていた,破産を知らせる張り紙。
同社の本社オフィス(目黒)のドアに張られていた,破産を知らせる張り紙。
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 ダイナミック・リコンフィギャラブル技術を手掛けるベンチャー企業のアイピーフレックスが破産した。2009年7月24日の昼に東京地裁に破産手続き開始を申請し,同日の夕方に破産手続き開始が決定した。同社が2000年に創業してから9年,ダイナミック・リコンフィギャラブル技術の先駆者が事業をたたむ。負債は約3億円で,内訳は償還期限が1年ほど後の転換社債,ファウンドリーに対する債務などである。

 同社のLSI「DAPDNA」シリーズは,富士ゼロックスやリコー,東芝テックといった日本の大手複合機メーカーに相次いで採用されるなど,快進撃とまではいかないまでも,一定の支持を得つつあった。ただし,ここ1年ほどは資金繰りが苦しい状態が続いており,経営陣は新たな出資者探しに奔走していた。新アーキテクチャの投入などを含む今後の事業計画を基にして「数十億円規模の大型出資を募っていた」(同社 創業者 取締役 兼 CTOの佐藤友美氏)ものの,新たな出資者を獲得することができず,破産を決めた。

 同社は,日本の中小企業に多い受託開発型の事業には依存せず,自社製品の開発・販売で勝負するという国内では希有な半導体ベンチャーだったが,そんな技術主導型ベンチャーの火が消えることとなった。

 本誌は2009年6月に同社の佐藤氏に取材しており,日経エレクトロニクス2009年7月27日号にダイナミック・リコンフィギャラブル技術の(解説記事)を掲載している。同社はALUをマトリクス状に配置した粗粒度のダイナミック・リコンフィギャラブル技術を手掛けているが,今後はRTL入力が可能な細粒度型のアーキテクチャも投入する構想を描いていた。当時はそれらの構想やプロトタイプを基にした事業計画により,出資者を募っている状況だった。

 なお,同社の特許などの知的財産は,破産管財人が管理して売却することになる。債権者集会は2009年11月に開催される予定である。