図1 NECエレクトロニクス 代表取締役社長の山口純史氏
図1 NECエレクトロニクス 代表取締役社長の山口純史氏
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 NECエレクトロニクスが2010年3月期第1四半期(2009年4月~6月)の決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は対前年同期比38.7%減,対前期比19.3%増の1020億円,営業利益は対前年同期比226億円悪化,対前期比324億円改善の-209億円と赤字,当期純利益は対前年同期比194億円悪化,対前期比401億円改善の-207億円と赤字だった。この結果に対し,同社社長の山口純史氏は「半導体売上高は予想を上回る実績。営業利益はほぼ想定通り」とした。売上高が想定より伸びたにもかかわらず,営業利益が想定内にとどまった理由については,「生産が追い付かず,在庫が減少したため」(同社執行役員の佐藤博氏)とした。

 今後に向けては「緩やかな回復は間違いないが,急速に回復するかは夏休み明けにならないと見えてこない」(山口氏)として,これまでの業績予想をすえ置いた(日経マイクロデバイス2009年8月号に関連記事)。しかし,すえ置き予想のままだと対前期比で9%増になる第2四半期(2009年7月~9月)の売上高に関し,「15%増が可能」(佐藤氏)とコメントした。今後の注力事業としてはエコ事業を挙げた。低電力LSIの開発,LSIを使ったシステムの低電力化,さらにはエコカーや新エネルギー分野への半導体ソリューションの提供といった「エコソリューション」コンセプトを打ち出した。

 なお,ルネサス テクノロジとの統合基本契約の締結期限を1カ月延長したことに関しては,非上場企業であるルネサス テクノロジのデューデリジェンスに時間がかかっている模様である。両社の統合に必要以上の時間やリソースがかかってしまうようだと,回復してきた半導体市場へのアプローチや短中期的な戦略構築に支障を来す懸念が出てくる。