図1 日産自動車 代表取締役の志賀俊之氏
図1 日産自動車 代表取締役の志賀俊之氏
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図2 日産の世界市場における販売台数
図2 日産の世界市場における販売台数
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 日産自動車は2009年7月29日,2009年度第1四半期の決算を発表した。経費削減の効果や,為替が当初の想定より円安となったため,営業利益が116億円(前年同期比85.5%減)の黒字となった。売上高は同35.5%減の1兆5148億円,純利益は165億円の赤字(前年同期は528億円の黒字)である。

 ただし通期の見通しは変更せず,営業利益は1000億円の赤字を見込む。「いまだ事業環境が不透明」(日産自動車 代表取締役の志賀俊之氏)なためである(図1)。特に不透明なリスク要因として,欧州や中国などで現在支給している購入補助金が打ち切られることや,為替の変動を挙げた。

 前年同期と比べた経費削減による効果は約1012億円とみられる。内訳は購買コスト削減分で299億円,販売費などの削減分で347億円,研究開発費の削減分で142億円,出張費など諸経費の削減分で224億円となる。

 世界の販売台数は,前年同期比22.8%減の72万3000台となった(図2)。地域別でみると日本,欧州,米国の主要市場ですべて減少した。日本での販売台数は前年同期比21.6%減の11万6000台である。「エコカー減税により販売台数は伸び始めているが,もっと効果が出ると思っていた」(志賀氏)とする。シェアは12.1%と,0.4%の微減となった。

 米国では前年同期比31.5%減の17万3000台。シェアは6.6%と変わらない。欧州では同24.6%減の11万8000台。シェアは2.4%と,0.2%の微減である。特にロシアにおける販売台数の落ち込みが大きく,前年同期比58.6%減の17万5000台となった。

 一方,中国での販売台数は伸びており,前年同期比9.3%増の14万5000台となった。シェアは5.8%と,0.1%増えた。特に,中国政府による排気量1.6L以下の車両に対する減税措置により,「ティーダ」や「リヴィナ」,「シルフィ」の販売が好調だったとする。今回の決算報告に併せて,中国広州の花都工場に新たな生産ラインを新設し,生産能力を現在の36万台から60万台に段階的に引き上げると発表した。