パソコンとDRAMの需要動向
市場全体のパソコン出荷台数と1台当たりのDRAM搭載容量
(Samsung社の決算説明資料より)
 韓国Samsung Electronics Co., Ltd.は2009年7月24日,同年第2四半期(4月~6月)の業績を発表した(発表資料)。単独ベースで,売上高は前年同期比16%増,前期比13%増の21兆200億ウォン。営業利益は1兆600億ウォンで,前年同期に比べると44%減少したものの,前期に比べると7.2倍になった。同社は前々期に営業損失を計上していたが,前期に少額ながら黒字に転じ,当期は営業利益率5%まで回復した。

 半導体部門の売上高は前年同期比10%増の5兆500億ウォンだった。営業利益は前年同期比44%減の1500億ウォンで,前期の6500億ウォンの赤字からは大きく改善した。メモリが黒字に転じ,システムLSIも利益を拡大したという。DRAMは,業界全体の供給量が前期並みだったのに対し,パソコンの販売増で需要は伸びたため,価格が上昇。NANDフラッシュ・メモリもスマートフォンや携帯型メディア・プレーヤの需要増で価格が上がったとする。第3四半期もメモリ,システムLSIともに需要が伸びるとSamsung社はみている。DRAMは50/40nm世代プロセスの採用拡大,NANDフラッシュ・メモリは40nm世代以降のプロセスへの移行を積極的に進めるとした。

 液晶パネル部門の売上高は前年同期比3%減の4兆5600億ウォン,営業利益は同81%減の1900億ウォンだった。ただし,前期に比べると22%の増収,黒字転換となっている。液晶パネルの出荷枚数は前期比で30%超,増加した。特にテレビ向けは前期比50%台後半の伸び率を示した。顧客の液晶テレビ・メーカーが生産量を拡大したためという。パソコン向けでは,LEDバックライト採用品やアスペクト比が16:9の品種,ネットブック向け品種などが好調だった。第3四半期の液晶パネル需要は季節傾向に沿って拡大するとSamsung社は予測する。この需要増に同社は2009年6月に操業を始めた第8世代工場の第2製造棟をフル稼働させることで応えるとした(Tech-On!関連記事)。

携帯電話機,薄型テレビは市場を上回る成長

 通信部門は,売上高が前年同期比31%増の8兆500億ウォン,営業利益が同28%減の5700億ウォンだった。携帯電話機の販売台数は前年同期比14%増の5230万台で,市場シェアは約20%まで拡大したと推定している。新興市場向けの販売が拡大するとともに,タッチパネル採用機が欧州や北米などの成熟市場で売り上げを伸ばした。平均販売単価は前期から2%上昇して124米ドルとなった。第3四半期は市場全体の出荷台数が前期から5%増えると予測。通期では市場規模が前年から10%ほど縮小して約11億台になるとみており,自社の年間販売目標は2億台としている。

 デジタル家電部門の売上高は前年同期比27%増の3兆2400億ウォン。営業利益は1500億ウォンで,前年同期の1600億ウォンの赤字から回復した。薄型テレビは市場全体の出荷台数が前期比で6%伸びたのに対し,Samsung社は10%増加,シェアを拡大した。LEDバックライトを採用した液晶テレビの販売が好調で,2009年6月末に累計販売が50万台を超えたという。液晶モニタは20型以上の大画面品が好調で,市場シェア首位を堅持。白物家電も冷蔵庫や洗濯機の高級モデルが売り上げを伸ばし前期比で20%を超える増収になった。