図◎東京電力の試験車両(出所:東京電力)
図◎東京電力の試験車両(出所:東京電力)
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 「EVの普及には、充電インフラの整備が大きな役割を果たす」。こう語るのは、東京電力でEV導入を推進する同社技術開発研究所電動推進グループのグループマネージャー、姉川尚史氏である。同氏は、「テクノトランスファー in かわさき2009」(2009年7月8日~9日)で「電気自動車のための充電インフラ」と題して講演した。EVは、CO2の排出量が少なく次世代自動車として期待されているが、価格が高く航続距離が短いなど普及に向けた課題が残る。そのような現状に対して姉川氏は、自動車単体で解決を目指すには限界があり、充電インフラ整備と合わせた取り組みが必要であるという。

 EVは、ガソリンを燃料とする自動車に比べ、CO2の排出量が少ない。走行時のCO2の排出量はゼロ、燃料の製造過程を含めても、CO2排出量はガソリン自動車が約190gに対して、EVは約50gである。この差は、都市走行ではさらに広がる。ガソリン自動車は平均車速が低い状態では効率が低下する。混雑時に平均速度5km/hで走行したとき、ガソリン自動車のCO2排出量は約250 g/kmに増加する。

 EVの普及を広く進めていく上で障害となるのは、車両価格の高さと、走行距離の短さからくる利便性の問題である。姉川氏は、今後のEV普及のカギとして、急速充電器の整備の重要性を挙げる。充実した急速充電器のインフラが整備されると、ドライバーは経路上で電池容量を補充、EVの航続距離を超えて行動範囲を広げることができる。一方、自動車メーカーは、高価なリチウムイオン電池の搭載量を減らし、EVの価格を抑えることができる。

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