Liquidの「TV Portal」画面の様子。次に放送する予定の番組に加えて,ユーザーが録画もしくは借りた番組を画面下部に表示する。
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SNSの番組リコメンデーション機能。推奨された番組と共に推薦した友人の情報も表示する。
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 米Rovi Corp.が「Liquid(開発コード名)」と呼ぶ新型のEPG(electronic programming guide)製品を発表した(発表資料)。Rovi社は旧Macrovision社の新しい社名である(発表資料Tech-On!関連記事)。

 Liquidの特徴は,単一のユーザー・インタフェース(UI)を介して,テレビ番組放送や家庭内ネットワークに接続された機器に保存されたコンテンツ,さらにはインターネットで配信された動画/音声を表示できること。Liquidは,現時点で米Google Inc.の「YouTube XL」(Tech-On!関連記事)や,オンライン有料動画配信サービスである米Blockbuster Inc.の「BLOCKBUSTER OnDemand」と米Sonic Solutions社の「Roxi CinemaNow」,米Slacker, Inc.のオンライン・ラジオ・サービス「Slacker Personal Radio」に対応している。Liquidは,ケーブル・テレビ事業者などが提供するセットトップ・ボックス(STB)よりもむしろ,家電メーカーによる小売店向けのインターネット・テレビやBlu-ray Disc再生機といった市場を狙っているという。

 Liquidは北米市場や欧州市場に向けて2010年初めごろから出荷を開始する予定である。現時点で同製品を採用するメーカー名は公開されていない。いずれはLiquidの日本語版を開発する予定があるというものの,製品の投入時期は未定である。

コンテンツの推奨機能や検索機能を強化

 ここ数年間で,EPGを手掛ける大手企業である旧Gemstar-TV Guide社やメディアのメタデータの旧AMG社,DLNAのミドルウエアを開発した旧Mediabolic社などの企業を買収してきたRovi社にとって,Liquidは同社が扱うEPG製品群の中で大きなアップグレードに相当するという。「ユーザーがアクセス可能な放送やオンライン,保存されたメディア・コンテンツの数が増大している。こうした状況下で,Liquidはユーザーにとって親しみやすいUIを導入することで,あふれているコンテンツの中から所望のものを簡単に見つけられるようにすることを目指した」(Rovi社)。

 この目的のためにRovi社は,Liquidについて,コンテンツの推奨(リコメンデーション)機能や検索機能を強化した。コンテンツをリコメンデーションするに当たっては,ユーザーのコンテンツ再生履歴からユーザーの好みをプロファイルし,コンピュータのアルゴリズムを利用して,コンテンツを推奨する。Rovi社の編集者が選択したコンテンツの推薦も行う。

 また,ユーザーが参加しているSNS(social network service)を通してユーザーの友人から推薦されたコンテンツも加えられるようにした。「自分の好みに近い友人から推薦されたコンテンツを表示するように設計している」(Rovi社)。現在,Liquidは米Flixster社の映画ファン向けSNS「Flixster」に対応している。

 Liquidの番組を検索する機能は,放送やオンラインなどを区別せず,ユーザーが検索しているコンテンツを表示するという。さらに,検索結果においてコンテンツと関連するメタデータも表示する。このメタデータで,番組に出る俳優などの情報を表示して,ユーザーがこれらを見ながら新しいコンテンツを見つけることもできる。

 現在,Rovi社は端末上にLiquidを導入するために必要な技術水準の詳細や価格を公開していない。