自転車産業振興協会は2009年7月8日,かねて募集していた助成金制度「高齢者が安心して乗れる自転車の試作」の内定者を発表した。14件の申請のうち,内定したのはオーアンドエム,サカモトテクノ,ブリヂストンサイクル,宮田工業,堀田製作所の5社。5社は競輪事業の売上金を財源とした補助金を受け,2010年2月末までに試作車を完成させる。今回の試作車開発で焦点となっているのは「安全性」と「軽い操作力」。

 同助成金制度は昨年度,幼児2人を乗せて走れる「3人乗り自転車」の開発をテーマに取り上げた。そこで重要視されていたのは,走行中と停止時の安定性。今回の高齢者向け自転車でも,内定者の開発案に同様の傾向が見られるが,これに加えて運転する高齢者の安全性確保と,軽い操作力でも乗りこなすための配慮が設計に組み込まれている。

 例えば,オーアンドエムの「高齢者安全自転車(仮)」では,転倒時に手を保護するためのハンドルガードを試作車のために新規開発する。サカモトテクノの「3輪アシスト自転車」では,踏み込み回転部(フロントギヤ)を通常の自転車よりも約20cm前方に設置し,サドルに小さな背もたれを付けた。高齢者がペダルを踏み込む際に足を突っ張ることで力を入れやすくするためだ。

 試作案の概要は,自転車産業振興協会のリリースに掲載されている。