ノート・パソコンの前年同月比の販売状況
ノート・パソコンの前年同月比の販売状況
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 「ノート・パソコンの販売金額は,前年同月比で2ケタの減少に突入」。---市場調査などを手掛けるBCNは,ノート・パソコンの国内市場動向を発表した(発表資料)。この調査は,BCNが集計している国内の大手家電量販店の店頭実売データに基づくもの。

 2009年6月のノート・パソコンの販売金額は,対前年同月比12.5%の減少となった。販売金額の前年割れは,2009年に入って以来4回目。販売金額そのものも,2009年6月は過去3年間で最低の水準という。一方,販売台数を見ると,拡大傾向が続いている。2009年6月の販売台数は,同21.6%増加した。伸び幅は落ち着いてきたものの,堅調に推移しているという。

 販売台数増加の主な要因は,低価格な,いわゆる「ネットブック」の台頭。ネットブックの市場拡大によって平均単価の下落が進み,ノート・パソコン市場全体において,販売台数が伸びても販売金額が減る現象が起き始めている。2008年1月に初めて日本市場に投入されたネットブックは,2009年6月の時点でノート・パソコン全体の販売台数のうち,33.1%を占めるまでになった。2009年6月のネットブックの税抜き平均単価は4万1500円で,前年同月と比べると25%下落した。さらに,通常のノート・パソコンの税抜き平均単価も10万1600円と,前年同月比で12%下落している。

 こういった市場構造の変化は,メーカー間の勢力図に影響を及ぼしているとBCNは説明する。パソコン市場全体の販売台数シェアを見ると,東芝,富士通,NECが上位3社を占めていることに変わりはないものの,台湾ASUSTeK Computer Inc.が8.4%のシェアを獲得し,これに続いている。前年同月はソニーが4位につけていたが,ASUSTeK Computer社がソニーを追い抜き,4位に浮上した。6位にはシェア6.7%の台湾Acer Inc.がつけ,ネットブックを主力製品にするメーカーのシェアが拡大している。

 2008年まではネットブック市場への対応に及び腰だった日本メーカーも,ここに来て本格参入の動きが活発化している。東芝,NEC,富士通が相次いでネットブックを発売したことに加え,ソニーもネットブック市場への本格参入を表明した。特に,東芝はネットブック市場でのシェアを急拡大しており,2009年6月の同市場における販売台数シェアは15.3%と,ASUSTeK Computer社,Acer社に続く3位だったという。「今後,こういった低価格製品でいかに利益を確保するかが各社の課題になる」とBCNは分析している。

 なお,BCNはこの調査において,ネットブックを「12.1型以下のディスプレイを備え,米Intel Corp.の『Atom』といった低電圧型マイクロプロセサを搭載したノート・パソコン」と定義している。

ノート・パソコンの販売台数と販売金額について
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メーカー別のパソコンの販売台数シェアの推移
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