図1 ストリーマ放電技術の概要
図1 ストリーマ放電技術の概要
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図2 National Institute of Hygiene and Epidemiologyのウイルス部門長であるLe Thi Quynh Mai博士
図2 National Institute of Hygiene and Epidemiologyのウイルス部門長であるLe Thi Quynh Mai博士
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図3 ストリーマ放電で発生させた高速電子を3時間照射した細胞にウイルスは見られなかった
図3 ストリーマ放電で発生させた高速電子を3時間照射した細胞にウイルスは見られなかった
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 ダイキン工業は2009年7月2日,強い酸化力を持つ「高速電子」を3次元的に発生させる「ストリーマ放電」技術による,「ヒト由来鳥インフルエンザウイルス:A型 H5N1」(以下,鳥インフルエンザウイルス)の除去効果に関する発表会を開催した。ストリーマ放電で発生させた高速電子を3時間照射すると,鳥インフルエンザウイルスを100%分解・除去できるという(ニュース・リリース)。

 ストリーマ放電は2004年に同社が開発した技術で,従来の グロー放電に比べて放電領域が広いのが特徴である(図1)。このため高速電子が多く発生し,分解力はグロー放電の約1000倍という。2004年に実施したA型 H1N1インフルエンザウイルスの除去実験では,24時間の照射で99.99%以上の分解・除去効果を実証していた。

 ベトナムNational Institute of Hygiene and Epidemiology(NIHE:国立衛生疫学研究所)が,鳥インフルエンザウイルスの分解・除去効果の検証を担当した。NIHEのウイルス部門長であるLe Thi Quynh Mai博士は,ストリーマ放電によるウイルス除去効果を,「3時間照射で100%」とした(図2)。「『細胞編成効果注1を7日間観察したが,ウイルスは存在しないとしか言いようがない』,というのがMai博士の結論だった」(ダイキン工業 環境技術研究所 開発グループ 主任研究員の香川謙吉氏,図3)。

 

注1)細胞変性効果(cytopathic effect;CPE)とは,ウイルスの感染した培養細胞にみれれる形態変化のこと。ウイルスが増殖する時に起こる変化を観察することでウイルスの存在を確認できる。

 なお,今回の検証には,従来品に比べ照射能力を「約1.5倍」(香川氏)に高めたものを使用した。ダイキン工業は,今回の検証に用いた放電ユニットを搭載した空気清浄機を2009年9月ごろに発売するという。