「ヘルシオはオーブン・レンジです!」,シャープがボリューム・ゾーンの製品企画に新手法
シャープは,過熱水蒸気を使ったオーブン・レンジ「ヘルシオ」の第6世代として,3機種を発表した。特に目を引いたのが,入門機と位置付ける「AX-M1」である。オープン価格で,同社による実売想定価格は6万5000円。国内の電子レンジやオーブン・レンジの平均単価2万3020円に比べればかなり高額だが,ヘルシオの上位機種に比べれば半額以下であり,ボリューム・ゾーンを狙った機種である。庫内容量は26Lと上位機種に比べて小さく,料理法に合わせた加熱工程を実行する「自動メニュー」も42種と少ない。
シャープはこれまでも,ヘルシオの低価格品を投入してきた。しかし上位機種が「指名買い」で人気を集める一方,低価格品はいまひとつだった。一般に,オーブン・レンジの低価格品は,上位機種より機能を減らして価格を下げたものが多く,特徴に乏しい。こうした状況に加えて,ヘルシオの場合は過熱水蒸気を使った調理法の利点をユーザーに対して訴求した結果,手軽に調理したいというユーザーに「ヘルシオを使った調理は本格的で敷居が高く,使いこなせないのではないか」という印象を与えてしまったのではないかと,同社ではみている。
「過熱水蒸気調理だけじゃないのに…」
そこでシャープでは,低価格品の商品企画を見直すためにアンケート調査を行った。すると「低価格品は,一般的なオーブン・レンジの対抗機種と認識してもらえていなかった」(シャープ 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部長 岡田圭子氏)。「ヘルシオ=特殊な調理器具」のイメージが強く,一般的な電子レンジ機能やオーブン機能を搭載していないと誤認しているユーザーが多かったという。実際には,2005年に発売した第2世代「AX-HC2」から電子レンジ機能やオーブン機能を搭載している。なお2004年発売の初代ヘルシオ「AX-HC1」も,電子レンジ機能がなかったものの,小型ヒーターを使ったグリル機能などは搭載していた。
低価格のAX-M1では,自動メニューなどを前面扉に印字している。アンケート結果を踏まえ,レンジやオーブン,グリルといった基本的な操作についても扉に明記し,「ヘルシオでも一般のオーブン・レンジと同じ調理ができることを強調した」(岡田氏)とする。
さらに,ターゲット層の嗜好にあった製品にするため,同社初の試みとして「自動メニューはアンケート調査の結果で決めた」(岡田氏)。ターゲットとする20〜40代の既婚女性100人にヘルシオで作ってみたい料理を調査したところ,意外な結果が得られたという。一般に,オーブン・レンジの自動メニューでは,飲食店のメニューのような,凝ったメニューを提案し,ユーザーに夢を与える場合が多い。
今回のアンケートでは,「酒蒸しや焼き鳥など,切って調味料と合わせるだけ,というように作り方がすぐ分かるような手軽なメニューが人気だった」(岡田氏)。こうした調査結果の中で,開発担当者らにとってさらに驚きだった点が「なぜかシフォンケーキが2位になったこと」。同社では「シフォンケーキは料理に慣れた人が作りたいもの」と考えていたという。一方で,上位機種ユーザーに人気の高いロールパンやフランスパンなどは,今回のアンケートでは全く人気がなかった。
ヘルシオの「健康」イメージで攻める
このほかの2機種は,健康に着目した「健康サポートメニュー」など,自動メニュー288種を搭載した最上位機種の「AX-X2」,容量などの基本機能は上位機種と同等にしつつ付加的な機能を抑えた「AX-G1」である。オープン価格で,実売想定価格はAX-X2が16万円前後,AX-G1が10万円前後になるとみる。
最上位機種AX-X2の特徴の一つが,各料理方法に合わせた加熱工程を実行する「自動メニュー」の多さ。288種の自動メニューを搭載する。多くの自動メニューを搭載する場合,メニュー選択が大きな課題となる。そこで,今回は脱油効果などを備えるヘルシオの「健康」イメージを強調し,「健康サポートメニュー」を用意した。操作部のカラー液晶画面に表示される,カロリーや塩分,野菜不足,カルシウム,疲れといった項目からユーザーが気になるものを選び,メニューを選択する。たとえば「カロリーが気になる」という項目を選択した場合,カロリー数別に用意された五つのグループから一つを選び,その中からメニューを選ぶ。
過熱水蒸気ユニットや蒸気ダクトといった基本的な構造は,2008年発売の従来品とほぼ同じとする。AX-X2とAX-G1は2009年8月20日,AX-M1は7月15日に発売する。月産台数はAX-X2が7000台,AX-G1が1万台,AX-M1が1万2000台である。












