セイコーエプソンとソニーは,エプソンイメージングデバイスの中・小型液晶パネル事業に関する資産の一部を,ソニーおよびソニーモバイルディスプレイへ譲渡することで,正式に契約したと発表した(発表資料)。

 譲渡の過程は2段階。まず2009年内に,高温ポリSi TFT液晶パネルなどを除くエプソンイメージングデバイスの中・小型TFT液晶パネル事業に関する営業機能を,ソニー・グループに移管する。これには,営業人員の出向を含むという。その後,2010年4月1日付けで,エプソンイメージングデバイスが持つ中・小型TFT液晶パネル事業の生産関連資産の一部を,ソニーモバイルディスプレイに譲渡し,ソニー・グループ内での運営体制に移行させる。なお,今回の譲渡による対価の支払いは発生しないという。

 具体的な2010年4月1日付けの譲渡内容は,以下の通り。(1)エプソンイメージングデバイスのアモルファスSi TFT液晶パネル関連の生産施設・設備などをソニーモバイルディスプレイへ一部譲渡,および土地を一部貸与,(2)セイコーエプソンの有する中・小型TFT液晶パネル(高温ポリSi TFT液晶パネルなどを除く)に関する特許やソフトウエア,技術情報といった知的財産をソニー・グループへ一部譲渡,(3)エプソン・グループの中・小型TFT液晶パネル事業(高温ポリSi TFT液晶パネルなどを除く)の開発,設計,製造などに従事する従業員の一部のソニー・グループへの出向である。

 ソニーは今回,エプソン・グループの事業資産の一部を取得することによって,中・小型液晶ディスプレイ事業を強化する。一方,エプソン・グループは,中・小型液晶パネル事業を縮小する方針。両社は2009年3月に,中・小型液晶パネル事業の提携に向けて協議を開始することで基本合意し,協議を進めていた(Tech-On!の関連記事)。