図1◎各社の自動車用Liイオン2次電池(出所:公開情報よりテクノアソシエーツが作成)
図1◎各社の自動車用Liイオン2次電池(出所:公開情報よりテクノアソシエーツが作成)
[画像のクリックで拡大表示]
図2◎各社のLiイオン2次電池の性能とNEDOロードマップ(出所:テクノアソシエーツが作成)
図2◎各社のLiイオン2次電池の性能とNEDOロードマップ(出所:テクノアソシエーツが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 今後10年間でLiイオン2次電池の性能向上が進み、電気自動車では、航続距離が200kmでLiイオン2次電池コストはおよそ航続距離1km当り2000円に、プラグインハイブリッド車では30kmの電気自動車走行が可能になり、Liイオン2次電池は総額10万円前後までコストダウンが進む。これは、このたび新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公表した「次世代自動車用蓄電池技術開発ロードマップ2008」で推定したシナリオである。同ロードマップは、次世代自動車用電池の開発目標を、現在から2030年を越える期間にわたって定めた。2030年頃まで電池の性能向上はリチウムイオン電池が牽引する。

 今後の主役となるLiイオン2次電池は、各社が開発を進めている。現状をNEDOロードマップの開発目標に重ね合わせ検証した。その結果、出力密度はロードマップを捉えているが、今後、技術開発のポイントはエネルギ密度の向上であることが明らかになった。

 現在量産予定を公表している各社の自動車用Liイオン2次電池セルをまとめた(図1)。トヨタ「プリウス」に搭載しているニッケル水素2次電池モジュールの仕様も記した。これを出力密度とエネルギ密度の2軸で、NEDOの開発ロードマップに重ね合わせた(図2)。この図から次のことがわかる。第一に、NEDOのロードマップのベクトルは横軸に沿って大きく伸びており、電池の性能向上は主にエネルギ密度の向上を志向している。第二に、このロードマップに従うと、電池のエネルギ密度は、ニッケル水素電池から大きく向上する。第三に、出力密度重視型電池の現状に関しては、各社Liイオン2次電池の多くは、ロードマップの目標設定値を上回る出力密度を達成している。第四に、エネルギー密度重視型電池の現状に関しては、エネルギー密度でロードマップの想定値にまだ届いていない。

(この記事の詳細はこちら