旭化成ケミカルズは,フィリピンのマニラ市に設置される,処理能力が10万m3/日とアジア最大規模の膜式水道浄水設備に同社の水処理用中空糸ろ過膜「マイクローザ」が採用されたと発表した。同中空糸ろ過膜は,主に水処理や工業用プロセス,膜分離活性汚泥法(メンブレンバイオリアクタ)などの分野で使用されるもの。新設備では,塩分を含んだ水(かん水)を同中空糸ろ過膜とRO膜(逆浸透膜)で処理し,高品質の水道水を供給する。稼動時期は2010年春を予定。

 同中空糸ろ過膜は,孔径に応じて「マイクローザ MF」と「同UF」の2タイプがある。今回,採用が決まったのは,物理的強度や耐薬品性に優れるポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の「同MF」の方。PVDF膜の中でも,独自の製膜技術により長寿命化を果たし,長期にわたる安定稼動に貢献する。

 同中空糸ろ過膜は,シンガポールや中国,韓国をはじめ,水不足や水質向上のニーズが高まる地域で採用が拡大している。同社では今後,アジアをはじめとする世界の大型設備向けの受注を加速させ,水処理事業の一層の強化を図る。