電子書籍に対する国内の携帯電話事業者の動きが活発になってきた。KDDIが2009年5月末,「ブックケータイ」と銘打ち,電子書籍の機能をウリにした携帯電話機「biblio」を発表した(Tech-On!関連記事)のに続き,NTTドコモは同年6月11日,フランスにおいてコミックのコンテンツ配信事業を開始。ソフトバンクモバイルは同年6月17日,ACCESSらが運営する電子書籍販売サイト「ケータイ書店Booker’s」を携帯電話機向けの公式サイトに加えた。
NTTドコモは,欧州の現地法人であるDOCOMO Netherlands B.V.を通じ,コミック(マンガ)の配信サービスを始めた。フランスの携帯電話事業者であるBouygues Telecom S.A.のポータルサイトを通じて,携帯電話機に配信する。コンテンツには,海外でも人気の高い「NARUTO-ナルト―」や「DRAGON BALL」などを用意する。いずれもフランス語版で,集英社が版権を持つコンテンツである。NTTドコモは今後,フランス以外の国での事業展開も検討しているという。
ソフトバンクモバイルが公式サイトに加えた「ケータイ書店Booker’s」は,ACCESSとアクセス・パブリッシング,東京都書店商業組合の3社が共同運営する書籍販売サイト。既に2008年10月にサービスが始まっており,KDDIのau「EZweb」の公式サイトに採用されている。約80の出版社から,文芸書などの書籍約7000タイトル,コミック約2000タイトルが提供されている。
コンテンツの量と質が変化
このように,電子書籍関連の動きが活発になっている背景の一つには,提供されるコンテンツの変化がある。具体的には,ここにきてコンテンツの量が増えると共に,質も向上しているという。「これまで,携帯電話機向けの電子書籍コンテンツといえば,アダルト系が中心だった」(携帯電話機向けに電子書籍を配信する企業)が,「最近になって,ベストセラーの小説なども手に入るようになってきた」(ある携帯電話機事業者)。電子書籍のユーザー層を大きく広げる好機というわけだ。
今後は,新聞や雑誌を含め,さまざまな書籍コンテンツの電子化が進むとみられる。電子書籍関連の動きは,今後ますます活発になりそうだ。
日経エレクトロニクスは2009年6月29日号に,特集「電子書籍 メジャーへのページをひらく」を掲載いたします。