韓国政府が同国内で流通するLiイオン2次電池に技術認証の規制を導入する。携帯電話機やデジタル・カメラ,ノートパソコンなどの小型電子機器に組み込まれるLiイオン2次電池を対象に,安全性を担保するために発火や加熱などの6項目の技術基準の認証を求めるもの。認証を取得しないと同国内での販売ができなくなる。2009年7月1日より施行すると発表されており,これが貿易障壁となるのではないかとの報道が波紋を呼んでいる。

 経済産業省や電池工業会は,技術基準そのものは日本の電気用品安全法で求めている基準の一部と大差なく,取得は難しくないため「韓国側には貿易障壁にする意図はないだろう」(経産省)とみている。一部報道にあるような日本製品の締め出しを狙ったものではないようだ。ただし,試験機関は韓国内の4機関に限られている。認証手続きが煩雑になると事実上の障壁となる懸念がある。このため,経産省は日本での認証試験の実施など何らかの簡素化策を韓国政府に申し入れる意向を示している。

 同規制の導入は2008年末に韓国政府より公示されていたが,その時点では試験機関や手続き方法などが明らかでなかった。その後,規制の詳細が五月雨式に発表されたため,全容が明らかになったのは最近のことである。7月の施行開始に向けて認証取得の十分な時間がなくなってしまったことから,施行を半年ほど猶予するとの話し合いが進んでいたようだ。しかし,「今回の『貿易障壁』といった報道が,問題の火種となりかねない」(電池工業会)と戸惑いの声も聞かれる。電池工業会は,施行当初は申請が殺到して時間がかかるかもしれないが,定常化すれば認証取得自体にはさほど時間はかからないだろうとみており,大きな貿易障壁とは捉えていなかった。



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