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 大日本印刷は2009年6月22日,有機薄膜太陽電池の5cm角のセルでエネルギー変換効率4%以上を達成したと発表した。電気抵抗の大きな透明電極に補助電極をつけることで,ロスを低減したとする。

 これまで有機薄膜太陽電池では,数mm角の小さなセルで5%程度の効率が得られても,セルを大きくすると大幅に効率が低下することが多かった。その理由の一つと考えられているのが,電極の一方に電気抵抗が大きい透明電極を使っている点。大面積のセルでは,セル上の位置によって透明電極を流れる経路の長さが大きく変わってくる。経路が長い場合,発熱などによってロスが大きくなり,発電にほとんど寄与しなくなるという。

 透明電極に関連する同様な課題は,照明用の大面積有機ELパネルなどでも持ち上がっている。有機ELパネルでは,透明電極上に「バス配線」と呼ぶクシ状の金属配線を施し,セル上の位置による電気抵抗の違いを平準化する工夫が広まりつつある。

 大日本印刷は今後,2012年度中に有機薄膜太陽電池のサンプル出荷を開始し,2015年度までの実用化を目指す。PETフィルムを基板に用いたロール・ツー・ロールによる量産技術なども検討するという。